講演情報
[I-PD5-4]現行の初期強化療法で抑止不能な劇症性川崎病を層別化する
○吉兼 由佳子1,2, 宮本 辰樹1, 永光 信一郎1 (1.福岡大学 医学部 小児科, 2.福岡大学筑紫病院 小児科)
キーワード:
川崎病、劇症、モデル
【背景】近年治療抵抗性川崎病(KD)が増加し、ステロイドなどを併用する現行の初期強化療法を行っても、その効果判定時期まで待てず急激な経過で冠動脈瘤合併に至る症例を散見する。劇症型とも言えるこのような最重症例を治療開始前に予測できれば、さらなる強化治療により冠動脈後遺症の根絶が期待される。【目的】ステロイド併用療法に不応で早期に3次治療が必要となる劇症性KDを、治療開始前に予測可能か検討した。【方法】IVIG+ステロイドパルス初期治療後2日以内に再発熱し、10病日までに3次治療が必要となったKD患者15例(同期間全川崎病入院患者294名の5.4%)を2群に分類した:(1) 劇症群(n=9):初期治療後解熱しないか1日以内に再発熱、(2) 非劇症群(n=6):治療後2日目に再発熱。多変量解析にて独立予測因子を抽出し、ROC曲線によりカットオフ値を求め、予測スコアモデルを作成した。【結果】CAL(Z≧+2.5、一過性を含む)は劇症群でのみ高頻度に合併した(56% vs. 0%)。治療開始前の好中球数、総ビリルビン(T-bil)、NT-proBNPが劇症経過の独立予測因子として抽出され、好中球数≧14,000/μL:2点、T-bil≧2.4 mg/dL:1点、NT-proBNP≧900 pg/mL:1点として、合計3点以上で劇症例を感度89%、特異度100%で予測できた。【考察】治療前の好中球数、T-bil、NT-proBNPを用いたスコアリングにより、CALリスクの高い劇症性KDを予測でき、初期段階からシクロスポリンやインフリキシマブなどの併用を含むさらなる強化治療を検討する判断を支援する有用なツールとなり得る。なお本研究における劇症性KDの定義は、当施設の治療戦略に基づく操作的定義であり、治療方針の異なる施設では適用が異なる可能性がある。今後、多施設での前向き検証が必要である。
