講演情報
[II-JSCDJS-OR-3]Myh6/Myh7の2重変異マウスモデルにおける拡張相肥大型心筋症の病態解析
○齋藤 和由1, 吉村 文2, 佐藤 迪夫3, 鳥越 大輔4, 尾池 雄一3, 浅井 ゆみこ1, 川田 潤一1, 吉川 哲史1, 長尾 静子2 (1.藤田医科大学 医学部 小児科学, 2.藤田医科大学 医科学研究所病態モデルセンター, 3.熊本大学大学院 生命科学研究部 分子遺伝学講座, 4.熊本大学 生命資源研究支援センター)
キーワード:
拡張相肥大型心筋症、複数変異、マウスモデル
【背景】肥大型心筋症(HCM)の約10%は、長期的に左室収縮能の低下と左室拡大が生じ、拡張型心筋症様(拡張相肥大型心筋症:D-HCM)に移行していくことが知られているが、その分子機構は十分に解明されていない。MYH6およびMYH7はいずれも心筋サルコメアを構成する主要分子であり、それぞれの遺伝子変異は心筋症の原因となることが知られている。私たちはMYH6変異とMYH7変異を併せ持つ家系において、HCMからD-HCMへの移行が高頻度かつ急速であることを見出し、二重変異が心筋の構造および機能破綻に与える影響に着目した。【目的】MYH6およびMYH7二重変異による心筋病態の分子学的および機能的特徴を明らかにすること。【方法】CRISPR-Cas9システムを用いてMyh6およびMyh7に変異を導入したマウス(C57BL/6J背景)を作製した。単独変異および二重変異マウスを用い、摘出心臓の病理組織学的解析、RNA-seq等によるオミックス解析、心電図および心エコーによる生理学的心機能評価を実施した。【結果】Myh6ではフレームシフト変異(fs/+)、Myh7ではアミノ酸欠損を伴う変異(del/+)が得られ、いずれもホモ接合体は胎生致死であった。二重変異マウスの出生数は有意に少なかったが出生後の生命予後は良好であった。Myh6(fs/+)では組織異常は明らかではないが左室拡張障害を示唆する所見が得られ、Myh7(del/+)では左室肥大およびびまん性線維化が認められた。二重変異マウスでは両表現型を併せ持ち、心肥大と拡張能低下を認め、組織並びにその分子機構に関して解析を進めている。また妊娠出産したメスのMyh7(del/+)変異マウスでは一部にD-HCM様の左室形態の変化を生じた。 【結語】Myh6(fs/+)やMyh7(del/+)の各変異は病的な意義が示唆された。二重変異は心臓発生に有意に影響するようであるが、出生後の生命予後は良好であり、異なる働きをすることが示唆された。
