講演情報
[II-JSCDJS-P1-2]福山型筋ジストロフィー患者由来のヒトiPS細胞分化心筋を用いた心筋症発症メカニズムの解明
○福村 史哲, 馬場 志郎, 門屋 卓己, 赤木 健太郎, 平田 拓也, 吉田 健司, 滝田 順子 (京都大学大学院 医学研究科 発達小児科学講座)
キーワード:
福山型筋ジストロフィー、心筋症、iPS細胞
【背景】福山型筋ジストロフィー(FCMD)は進行性の神経筋疾患であり、FKTN遺伝子の変異により発症する。FCMDの生命予後を規定するのは呼吸筋力低下による重度の呼吸不全と心筋症である。FKTN遺伝子によって転写されるFukutinタンパクは細胞膜蛋白上の糖鎖を伸長するが、FCMDでは糖鎖の伸長が起きない。しかし、この現象と心筋症との関連は不明である。【目的】ヒトiPS細胞を用いたin vitroの実験系により、糖鎖伸長障害と心筋症発症メカニズムの関連を解明する。【方法】FCMD患者、健常者からiPS細胞を樹立 (F-iPS、C-iPS)。次に糖鎖の伸長について分化心筋細胞で糖鎖抗体の蛍光輝度を比較して検証した。さらに単細胞に分離した状態での細胞サイズ、拍動数を測定した。また、Caインジケーターにより細胞内Ca濃度変化率を、多電極アレイにより擬似的なQT時間であるField potential duration (FPD)を算出した。統計処理は不等分散の2検体におけるt検定を用い、有意差としてp値0.05未満を採用した。【結果】F-iPS由来心筋細胞(F-CM)は、C-iPS由来心筋細胞(C-CM)と比較して糖鎖の蛍光輝度は有意に低下していた(p=0.02)。細胞サイズは有意差はなかった(p=0.17)。拍動数はC-CM 65.3±14.6 bpm、F-CM 56.2±5.6 bpmであり、F-CMで低い傾向であったが有意差は認めなかった(C-CM vs. F-CM: p=0.28)。Ca動態について有意差はなかった(C-CM vs. F-CM: p=0.68)。FPDをFridericia法により補正した値はC-CMで 241.7±29.3 ms、F-CMでは 274.6±36.4 msとより長い傾向はあったが、有意差は認めなかった(C-CM vs. F-CM: p=0.34)。【考察】統計上有意差は出ていないが、F-CMによりFCMD心筋症における心筋脆弱性が再現されうる可能性があると考えられた。【結論】FCMD患者由来のiPS心筋においては、コントロール株と比較してin vitroで形態、表現型の統計的な有意差は確認できなかったが、拍動数の低下と補正FPDの延長を呈する可能性がある。
