講演情報

[II-JSCDJS-P2-5]位相コントラストCTを用いた修正大血管転位症における心臓刺激伝導系の三次元構造解析

三村 由依1, 藤田 周平2, 本宮 久之2, 稲井 慶3, 高桑 徹也4, 福澤 理行5, 星野 真人6, 小田 晋一郎2, 八代 健太1 (1.京都府立医科大学大学院 医学研究科 生体機能形態科学, 2.京都府立医科大学大学院 医学研究科 心臓血管外科学, 3.東京女子医科大学 循環器小児・成人先天性心疾患科, 4.京都大学大学院 医学研究科 人間健康科学系専攻 形態形成基礎医療科学, 5.京都工芸繊維大学大学院 工芸科学研究科 情報工学部門, 6.高輝度光科学研究センター 分光・イメージング推進室)
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キーワード:

先天性心疾患、心臓刺激伝導系、位相コントラストCT

先天性心疾患では、心房・心室の配列異常や中隔形成異常に伴い、刺激伝導系の走行や配置に多様性が認められる。これらの構造的特徴は術中に直接確認することが困難であるため、手術操作による損傷は重篤な不整脈や房室ブロックを引き起こす要因となり得る。しかし、刺激伝導系の詳細な立体構築を明らかにするためには、従来は連続切片による破壊的解析が必要であり、貴重なヒト標本への適用には制約があった。
本研究では、大型放射光施設SPring-8の位相コントラストCT(PCXCT)を用い、非染色・非破壊条件下でヒト心臓標本における刺激伝導系の三次元可視化を試みた。PCXCTは屈折位相差を強調することで、軟部組織の微小密度差を捉え、結合組織線維や細胞集団の境界を描出できる。解析には東京女子医科大学所蔵の安藤正彦先生が体系化されたteaching collectionおよび京都府立医科大学所蔵の正常心臓標本を用い、約10 μmの空間分解能で撮像を行った。
正常心臓標本において、3D Slicerを用いた三次元再構築により、房室結節からヒス束、左右脚に至る連続構造を明瞭に描出することができた。さらに、修正大血管転位症(cc-TGA)心標本に適用し、刺激伝導系の立体的走行を解析したところ、cc-TGAに特有の解剖学的配置が示唆される所見が得られた。
本研究は、非破壊的手法によるヒト刺激伝導系の三次元解析基盤を確立するものであり、先天性心疾患における刺激伝導系の形態学的多様性の理解や、外科治療における解剖学的リスク評価への応用が期待される。今後は症例数を拡大し、cc-TGAにおける刺激伝導系構築の規則性について検討を進める予定である。