講演情報

[II-JSCDJS-P2-6]無脾症に関する位相コントラストCTによる心臓刺激伝導系の立体的走行解析

福井 達登1, 北野 幸一郎1, 妹尾 遼1, 三村 由依1, 藤田 周平2, 本宮 久之2, 稲井 慶3, 高桑 徹也4, 八代 健太1, 小田 晋一郎2 (1.京都府立医科大学大学院 医学研究科 生体機能形態科学, 2.京都府立医科大学大学院 医学研究科 心臓血管外科学, 3.東京女子医科大学 循環器小児・成人先天性心疾患科, 4.京都大学大学院 医学研究科 人間健康科学系専攻 形態形成基礎医療科学)
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キーワード:

無脾症、刺激伝導系、3D画像解析

無脾症(Asplenia)では、主心室の形態(右室型・左室型)や房室接合部の解剖学的多様性により、房室結節からヒス束、脚に至る刺激伝導系の走行は症例ごとに著しく異なる。刺激伝導系は術中に直接視認することが困難であり、各手術において不可逆的な伝導障害を来すリスクが常に存在している。したがって、本疾患群における術後不整脈の回避とQOL維持のためには、各症例に固有の刺激伝導系の走行を解剖学的に把握することが不可欠である。本研究は、無脾症における刺激伝導系の空間的配置に関する解剖学的情報を体系的に収集し、三次元(3D)画像アーカイブを構築した上で定量的解析を行うことを目的としている。大型放射光施設SPring-8の位相コントラストCT(PCXCT)を用い、東京女子医科大学のteaching collectionおよび京都府立医科大学解剖学教室所蔵の心標本を対象として、非染色・非破壊条件下で刺激伝導系の3D可視化を試みた。まず正常心臓断層像データを用いて3D Slicerによる再構築ワークフローを確立し、この手法を基盤として無脾症例2例に対し、約10μmの高分解能かつ広ダイナミックレンジで解析を行った。その結果、房室結節からヒス束・脚に至る刺激伝導系の連続構造を同定し、主心室や流出路、心内構造物との立体的な位置関係を明瞭に描出することができた。今後は症例数を増やし、刺激伝導系の危険域・安全域の定量的マップ化を通じて、術後不整脈の低減と安全な手術戦略の構築に貢献したい。