講演情報

[II-OR13-04]たこつぼ型心筋症を併発した拡張型心筋症の乳児例

本間 友佳子1, 早渕 康信1, 菅野 幹雄2, 加地 剛3 (1.徳島大学病院 小児科, 2.徳島大学病院 心臓血管外科, 3.徳島大学病院 産科婦人科)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

たこつぼ型心筋症、拡張型心筋症、肺動脈絞扼術

【背景】乳児期のたこつぼ型心筋症(TTC)発症は稀であり、さらに拡張型心筋症(DCM)に合併する症例は極めて稀である。DCMは経過観察・治療決定に詳細な心機能評価が必要であるが、これら2種類の心筋疾患が併発しうることに注意して判断する必要がある。【症例】2か月男児。胎児期からDCMと心室中隔欠損症(VSD)が疑われ、出生後に確定診断した。利尿剤、ACE阻害剤、β遮断剤を随時開始したが、心不全は次第に増悪した。心臓カテーテル検査で肺血流量増加に伴う肺高血圧を認めた。人工心肺による心筋障害の回避や左室収縮能改善を期待して肺動脈絞扼術を施行した。術後、肺動脈拡張による気管支圧迫・換気不全を認め、VSD閉鎖術・肺動脈縫縮術の施行を余儀なくされた。術後はECMOを要したが、術後8日目に離脱し、33日目に抜管した。術後41日目の心エコー検査で左室心尖部の収縮低下と心基部の過剰収縮を認め、心電図でV1-6に陰性T波を伴うST-T変化を認めたためTTCと診断した。術後55日目頃から心収縮は改善傾向となり、77日目には陰性T波は改善した。現在は外来で心不全治療を継続している。【考察・結語】本症例ではICUにおける術後侵襲やストレスがTTC発症に関連していた可能性を考えた。DCMでは左室収縮障害が既に存在するためTTC発症時の壁運動異常が不明瞭となり診断困難となる場合がある。DCM患者で急性の左室機能低下・壁運動異常を認めた場合は基礎疾患の増悪や治療の影響に加えて、TTC合併の検討が重要であると考えた。TTCによって心筋障害を惹起して心筋線維化を進行させることでDCM の進行に関与する可能性も指摘されている。よって、両者の関連性は必ずしも一方向ではなく、相互に影響を及ぼし得ることが考えられる。今後、両者の病態生理学的関連を明らかにすることが期待される。