講演情報
[II-OR14-05]小児Marfan症候群の僧帽弁閉鎖不全症に対する僧帽弁形成術の戦略と遠隔期成績
○辻 重人1, 鹿田 文昭1, 國部 佑吾1, 寺川 勝也1, 犬塚 亮2, 小野 稔1 (1.東京大学医学部附属病院 心臓外科, 2.東京大学医学部附属病院 小児科)
キーワード:
Marfan症候群、僧帽弁閉鎖不全症、僧帽弁形成術
【背景】Marfan症候群は約50%で僧帽弁閉鎖不全症(MR)を認めると報告されている。病変が広範囲に及び、複雑な僧帽弁形成術を要することが多い。小児期に介入が必要な症例もあるが、成人と異なり形成術後の体格成長に伴う僧帽弁への影響について検討する必要がある。 【方法】2017年~2025年までに当院でsevere MRに対して僧帽弁形成術を施行した18歳以下のMarfan症候群6例を解析した。僧帽弁形成術の基本戦略は、余剰後尖は三角切除・弁尖縫縮、逸脱した前尖は人工腱索、前交連・後交連はKissing suture、人工弁輪はPhysio IIを使用し、交連間距離からサイズを決め、前尖面積に応じて1段階サイズ変更とした。MRの成因、弁輪径、術中所見、形成方法、遠隔期生存率、再介入率、弁逆流進行度、平均圧較差に関して調査した。【結果】手術時の年齢10歳(5-14歳)、体重25.5kg(16.7-44.7kg)であった。術前心エコーでは、前尖逸脱2例、両尖逸脱4例であり、僧帽弁弁輪径35.4mm(27.2-42.1mm)であった。術中所見として、6例中5例で複数~全弁尖で弁尖肥厚・余剰・逸脱、腱索延長、弁輪拡大を認め、Barlow様であった。形成術の詳細は、弁尖の三角切除5例(83%)、弁尖縫縮3例(50%)、人工腱索4例(67%)、交連部のKissing suture 4例(67%)、人工弁輪 6例(100%, 30mm 1例, 32mm 3例, 34mm 2例)であった。follow up期間は3.6年(0.7-8.7年)であり、全例で生存し、僧帽弁への再介入症例は認めなかった。体重増加率61%(12-148%)であったが、最新の心エコーでは、MR trivial 3例、mild 1例、mild-moderate 2例、平均圧較差2mmHg(1-6mmHg)であった。【結語】Marfan症候群のMRは病変が広範囲に渡ることが多いが、複数の形成術を組み合わせることにより逆流制御が可能であった。人工弁輪や人工腱索の使用で体格成長に伴う僧帽弁への影響が懸念されたが、逆流・狭窄ともに制御されており、良好な遠隔期成績であった。
