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[II-OR18-04]斬新な弛緩能評価モデル(Kinematic model) の数理的・生理的妥当性の検討

山形 知慧1, 犬塚 亮1, 先崎 秀明2 (1.東京大学 医学部 小児科, 2.こども未来づくり総合サポートセンターちょこ)
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キーワード:

心機能、弛緩、物理モデル

[背景]Kinematic modelは2008年Chungらに提唱された数理モデルを元にした新しい弛緩能評価であり、左室圧データからほぼ全弛緩期を評価でき、弛緩過程における弾性力(Ek)とクロスブリッジカイネティクス(mu)、を個別に評価できる潜在性があり、現存モデルより詳細かつ正確な心室弛緩能評価とそれに基づく病態解明に役立つ可能性が期待される。しかしながら、このモデルの数理学的・病態生理学的挙動の妥当性は不明であり、今回その検討を行なった. [方法・結果]数値安定化のため一部修正したkinematic model(以下, 本手法)を用い犬左室等容性弛緩期(IVR)のP(t), dP/d(t)にフィッティングしEk, muを推定した. 正常犬46匹, 心不全犬18匹を対象とした. 解析区間変化に対するEk, muの変動係数は24%, 20%と解析区間依存性が確認された. 正常と心不全を比較し, tauは心不全で有意に延長していたが(tau 35.6±46.9 msec, p <0.05), Ek, muともに有意な差は認められなかった(Ek 3956±375 vs 3374±556 s-2, mu 15.5±1.5vs 12.8 vs 1.4 msec). また, 下大静脈閉鎖による前負荷変動, dobutamine投与による収縮・弛緩能変化に対しては、一貫した変動傾向を示さなかった. Phenylephrine投与による後負荷上昇に対してはEkは低下, muは上昇する傾向を示した.[考察]本モデルは、Ek, muを意味のある値として区別するFittingが難しい(non-identifiable)という数理的問題を内包しており, 結果として1.解析区間設定変化に対するEk, muの大きな変動誤差をもたらし, 2.心不全や負荷変動に対して生理学的に妥当性を持った変化を示すことができなかった.[結論]本手法の信頼性, 妥当性は十分であるとは言いがたく, より優れた弛緩評価モデルを開発する必要がある.