講演情報

[II-OR20-02]1ヶ月間診断がつかず未治療経過観察となっていた、巨大冠動脈瘤を合併し心タンポナーデにより死亡した不全型川崎病疑いの乳児例

福村 史哲, 馬場 志郎, 柴田 洋史, 門屋 卓己, 赤木 健太郎, 井澤 和司, 平田 拓也, 滝田 順子 (京都大学 大学院 医学研究科 発達小児科学講座)
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キーワード:

不全型川崎病、冠動脈瘤、心タンポナーデ

【背景】1980年代後半に大量免疫グロブリン療法(IVIG)が導入され、川崎病に伴う巨大冠動脈瘤に遭遇する機会は減少した。この傾向は診断に難渋しやすい不全型川崎病においても変わらないといわれている。【症例】既往のない10ヶ月男児。1ヶ月間、間欠的な発疹と発熱があり近医で感冒として経過観察。四肢の紫斑を主訴に前医を受診し、CR高値のため当院紹介。胸部X線で心拡大、心臓超音波検査で右冠動脈に12mm、左前下降枝に14mmの巨大瘤を認め、精査加療目的に入院となった。造影CT検査では右上腕動脈、両側内腸骨動脈に小瘤の形成を認めた。抗血栓・抗凝固療法としてアスピリン・ワーファリンの内服、ヘパリン持続投与を開始。多発性結節性血管炎の可能性は否定できなかったが、不全型川崎病と診断し、IVIG、インフリキシマブを投与。炎症反応は順調に低下したが、入院7日目に涕泣とともに突然徐脈、心停止となり心肺蘇生を施行した。冠動脈造影では両側冠動脈の著明な造影効果の遅延像あり。心機能低下と心タンポナーデによる循環不全のため、心嚢ドレナージ、VA-ECMOを導入したが、心破裂によると思われる出血コントロールが困難となり看取りとなった。【考察】川崎病では冠動脈合併症を防ぐため遅くとも発症12日以内の炎症抑制が重要であるが、本症例は発症1ヶ月間無治療であった。巨大冠動脈瘤を合併した場合、急性期死亡率は5%程度と高い。多くは心筋梗塞の合併による死亡であるが、一部では冠動脈瘤などの破裂により心タンポナーデを発症する。その多くが循環動態の破綻から死亡しており、本症例も経過から救命困難と考えられた。【結論】巨大冠動脈瘤合併不全型川崎病の乳幼児死亡症例を経験した。近年経験することがない超巨大冠動脈瘤の画像所見を供覧し、治療方針について協議したい。