講演情報

[II-P19-02]小児期発症肺動脈性肺高血圧症に対する現行治療の到達点と次世代治療への期待

田中 里奈, 櫻井 牧人, 柏木 菜緒, 山口 洋平, 石井 卓 (東京科学大学病院 小児科)
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キーワード:

肺動脈性肺高血圧症、小児、治療成績

【背景】肺動脈性肺高血圧症(PAH)に対する新たな治療薬として、アクチビンシグナル伝達阻害薬であるソタテルセプトが2025年より国内で使用可能となり、小児例への応用も期待されているが、小児PAH患者における現行治療の到達点と限界を示す実臨床データは十分に整理されていない。【目的】当院で治療をされている小児期発症PAHの治療経過と予後を明かにし、今後の治療戦略について考察する。【方法】2009年4月以降に当院で診断・治療を行った小児期発症PAH 患者(診断時年齢15歳未満、未修復Post-tricuspidシャント症例は除外)を対象とし、診断時情報、治療とその後の経過、最終転帰などを後方視的に検討した。【結果(値はいずれも中央値、範囲)】男児7例、女児6例、診断は特発性PAH (IPAH)7例、遺伝性PAH 5例、門脈性肺高血圧(POPH) 1例で、診断後の観察期間は9.8年(3.3ー15.6)であった。診断時年齢は8.11歳(3.10ー13.8)、診断時の平均肺動脈圧(mPAP)は60 mmHg(20ー98)、肺血管抵抗係数(PVRI)は17.78 WU・m2 (4.83ー46.67)であった。8例で3系統の肺高血圧標的治療薬による多剤併用療法が行われており、うち4例で静注プロスタサイクリン製剤が併用されていた。最終評価時のmPAPは42 mmHg(19ー72)、PVRIは7.11 WU・m2 (2.58ー20.3)であり、一定の改善は認めるものの高値に留まる症例が多かった。最終転帰は、POPHの1例が発症後12年で死亡、IPAHの1例が発症後9年で肺移植となり、その他の11例は現在も内科的治療を継続している。【結論】小児期発症PAHでは多剤併用療法でも中等度以上の肺高血圧が残る症例が多く、現行治療の限界が示された。ソタテルセプトは、小児PAHにおける今後の治療戦略を再構築する上で重要な選択肢となる可能性がある。