講演情報
[II-P19-03]肺血管拡張薬抵抗性肺動脈性肺高血圧の鑑別として重要であったビタミンC欠乏症の1例
○前澤 身江子1, 檜垣 高史1,2, 柏木 孝介1, 宮田 豊寿1, 渡部 竜助3, 赤澤 祐介3, 千阪 俊行1,4, 太田 雅明1,4, 森谷 友造5, 山本 英一5 (1.愛媛大学大学院 医学系研究科 小児科学講座, 2.愛媛大学大学院 医学系研究科 小児・思春期療育学講座, 3.愛媛大学大学院 医学系研究科 循環器・呼吸器・腎高血圧内科学講座, 4.愛媛大学大学院 地域小児保健医療学講座, 5.愛媛県立中央病院)
キーワード:
肺高血圧、ビタミンC、栄養
【背景】小児期発症の肺動脈性肺高血圧症(PAH)は特発性,遺伝性,先天性心疾患関連が大半を占めるが,稀にビタミン欠乏が原因となり可逆的な肺高血圧を呈する.これらは通常の肺血管拡張薬に反応が乏しい一方,適切な補充により改善が期待され,早期診断が重要である.【症例】自閉症スペクトラムの既往のある5歳男児.嘔吐,多呼吸を主訴に受診し,心臓超音波検査で右心系の拡大と心室中隔平坦化からPAHと診断され、前医に入院した.心臓カテーテル検査で平均肺動脈圧(mPAP)39mmHg,肺血管抵抗(Rp)16.7Wood単位と上昇を認め,肺血管拡張薬を開始された.一時的に改善するも,入院41日目に肺高血圧クリーゼから心停止に至り蘇生を要した.一酸化窒素(NO)吸入療法を開始し、当院へ転院した.高度の偏食歴からビタミン欠乏を疑うことにより著明なビタミンC欠乏の診断に至った.ビタミンCの補充を開始したところ,補充開始4日目のカテーテル検査では酸素・NO投与下にmPAPは正常であったが,NO中止によりmPAP34mmHg,Rp4.8Wood単位へ上昇ため,肺血管拡張薬を併用しつつ抜管し,転院35日目にNOを離脱した.NO離脱後のカテーテル検査ではmPAP12mmHg,Rp0.9Wood単位と正常化した.ビタミンC欠乏による可逆的肺高血圧と診断し,肺血管拡張薬を漸減中止したが再燃なく経過した.【考察】ビタミンC欠乏は血管内皮におけるNO産生低下,低酸素誘導因子の不適切な安定化などを介して肺血管収縮やリモデリングを惹起すると考えられ,可逆的なPAHの原因となるが臨床現場では見逃されやすい.本症は内服肺血管拡張薬への反応が限定的であった一方,NOが著効し,ビタミンC補充により可逆的に改善した.【結語】偏食や栄養不良を伴い,肺血管拡張薬への反応が乏しい重症PAHでは,ビタミンC欠乏を含む栄養評価を積極的に行うべきである.
