講演情報
[II-P19-06]Sotaterceptが著効した小児期発症特発性肺動脈性肺高血圧症の1例
○飯田 尚樹, 岩朝 徹, 村山 友梨, 伊藤 裕貴, 戸田 孝子, 加藤 愛章, 藤本 一途, 大内 秀雄, 黒嵜 健一 (国立循環器病研究センター 小児循環器内科)
キーワード:
肺動脈性肺高血圧症、Sotatercept、肺移植
【背景】Sotaterceptは昨夏保険承認された肺動脈性肺高血圧症(PAH)の新規治療薬で、アクチビンシグナル伝達阻害作用による血管増殖抑制という新たな機序の薬剤である。今回小児期発症の重症特発性肺動脈性肺高血圧症(IPAH)に使用し、短期間で著効したため報告する。【症例】本剤投与時27歳女性。生来健康であったが、14歳時に歩行の遅れや倦怠感が徐々に増悪、WHO-FC IV度相当となった。学校で意識消失し、心エコーで肺高血圧所見を認めたことから当院へ紹介、IPAHと診断された。心臓カテーテル検査で平均肺動脈圧78 mmHg、収縮期肺動脈圧/大動脈圧比1.18、肺血管抵抗35.6 WU・m2と重症であり、Epoprostenol、Tadalafil、Macitentanを導入された。一時は肺血管抵抗8.3WU・m2まで改善したが、徐々に再増悪し26歳時に脳死肺移植登録に至った。27歳時にBNPの上昇と日常生活での倦怠感等を認めWHO-FC III度となり 、入院し強心剤投与を開始した。同入院中にSotaterceptを導入し3回投与後に心臓カテーテル検査を実施したところ、移植登録時平均肺動脈圧75 mmHg、収縮期肺動脈圧/大動脈圧比0.90、肺血管抵抗19.2 WU・m2であったものが、それぞれ39 mmHg、0.84、12.8 WU・m2と大幅な改善を認めていた。本剤による副作用は認めなかった。【考察】肺移植待機中かつ長期右心不全入院中の重症IPAHにSotaterceptを使用し、顕著な肺動脈圧、肺血管抵抗の改善を得た。今後の肺移植待機期間を在宅管理可能となり、肺移植自体を回避できる可能性もあり、本剤の効果を加味した治療戦略を再考する必要があると思われた。【結論】Sotaterceptは肺移植待機や長期入院待機を要する重症PAHに対する新たな治療選択肢となり得る。
