講演情報

[II-PD6-5]小児ブルガタ症候群における診断および突然死予防戦略 ― 日本とスペインの診療体制の比較 ―

森本 美仁1,2, 加藤 愛章1, 黒嵜 健一1, マルティネス エステファニア2, グレコ アンドレア2, クルサレギ ゴメス ホセ カルロス2, チパ クサニ フレディ2, サルケーリャ ブルガダ ジョージア2 (1.国立循環器病研究センター 小児循環器内科・成人先天性心疾患科センター, 2.Sant Joan de Deu病院 小児循環器内科)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

ブルガタ症候群、小児突然死、剖検

【背景】ブルガタ兄弟により報告されたブルガタ症候群は若年突然死の重要な原因である。一方、小児期には典型的ST変化に乏しい症例もあり、失神や致死性不整脈などの心血管イベントを契機とするまで診断されにくい。さらに診断方法やリスク評価、植込み型除細動器(ICD)の適応基準は国によって大きく異なる。【方法】ブルガタ兄が設立した小児突然死予防センター・ブルガタ症候群センターを有するスペインのSant Joan de Deu Barcelona病院における臨床留学を経験した。そこで得られた知見をもとに、日本とスペインにおける小児ブルガタ症候群の診断方法、遺伝子検査、電気生理学的検査(EPS)およびICD適応基準について比較検討した。【結果】日本では家族歴や学校心臓検診を契機に無症候性のブルガタ症候群疑い例が発見されることが多いが、無症候例では遺伝子検査、ピルシカイニド試験やEPSは必ずしも全例に施行されず、経過観察となる症例が多い。一方スペインでは若年突然死症例(40歳以下)に対して原則全例で剖検・遺伝子検査が行われ、突然死家族歴を有する小児は全例専門施設受診が指示される。そして心電図、心エコー、遺伝子検査によりリスク評価を行い、高リスク群ではアジマリン試験やEPSが施行され、ループレコーダーや一次予防としてICD適応とされる症例が多かった。【考察】日本では学校心臓健診由来の症例が多く、偽陽性の問題がある一方、スペインでは突然死リスクの高い集団に対して積極的な精査と予防介入が行われていた。安静時心電図異常が正常・軽度でも、遺伝子検査陽性、薬物負荷試験陽性、EPSで心室頻拍が誘発される症例を複数経験し、日本の診療体制では一部の高リスク症例を見逃している可能性があると考えられた。【結論】本比較検討は、小児ブルガタ症候群や小児遺伝性不整脈における今後の診断および突然死予防戦略を再考する上で有用な知見を提供するものと考えられた。