講演情報
[II-PD7-5]下大静脈と独立して肝静脈が右房へ還流する症例に対してのTCPCの工夫
○永瀬 晴啓1, 原田 雄章1, 松田 健作1, 玉井 夢果1, 連 翔太2, 中野 俊秀1 (1.福岡市立こども病院 心臓血管外科, 2.福岡市立こども病院 循環器科)
キーワード:
TCPC、Hepatic vein、unifocalization
【目的】TCPCを行う際にIVCと独立して肝静脈が心房へ還流する症例がある。このような症例に対する術式についてはコンセンサスがない。当院ではIVCと肝静脈を統合した上でグラフトと吻合するか、肝静脈をグラフトへ端側吻合する,IVCと肝静脈を一塊にトリミングして直接吻合しているが、その有効性を明らかにすることを目的とした。【方法】1990/2~2025/12までで当院でTCPCを行った985例の内、肝静脈とIVCが独立して心房に還流し処置を要した症例は29例あり、カテーテルと血液データを元に、TCPC導管のflowと肝機能を評価した。24例は肝静脈とIVCを統合してからグラフトと吻合し、3例は肝静脈をグラフトへ端側吻合、2例はIVCと肝静脈を一塊にして吻合した。端側吻合の3例中、2例は6,8mmのグラフトを導管と肝静脈との間に介在させた。手術時年齢の中央値は3.5歳[1.8-13.1]、導管径は18mm[16-20]、両側SVCの症例は14例あった。29例中、27例がHeterotaxyだった。フォロー期間は術後13.6年[0.1-20.6]、カテーテルは術後初回0.57年[0.05-4.15]と直近10.2年[0.5-10.1]、血液データは術後0.5年[0.1-1.0]、と直近13.3年[0.0-15.8]を評価した。【結果】早期および遠隔期死亡は認めず、TCPC循環の破綻した症例は認めなかった。術後カテーテルでは初回でSVC圧が10mmHg[1-15]、IVC圧は10mmHg [7-15]と圧格差は認めず、直近ではSVC圧が 8mmHg[6-15]、IVC圧は8mmHg[6.0-17.0]と術後10年経過後も圧格差は認めなかった。また術後0.5年の血液データではAST 45U/l[30-77]、ALT 23U/l[13-43]、γ-GTP 30U/l[13-157]であり、直近では、AST 32 U/l [18-63]、ALT 26 U/l [14-95]、γ-GTP 53 U/l [18-178]と数値の上昇なく経過している。【結論】全例術後吻合部狭窄なく経過しており、肝静脈とIVCの距離が遠い症例はグラフトを介在させる事で解決できた。本法は肝静脈とIVCが独立して心房へ還流する症例に対して有効であると考えられた。症例毎に適切な吻合方法を検討する事が重要である。
