講演情報

[II-PD8-2]小児循環器病におけるリンパ管障害:リンパ流評価に基づいた治療戦略の構築

小澤 由衣1, 李 海秀2, 中村 甫1, 河島 裕樹1, 矢野 瑞貴1, 西木 拓己1, 大森 紹玄1, 白神 一博1, 益田 瞳1, 犬塚 亮1 (1.東京大学医学部附属病院 小児科, 2.東京大学医学部附属病院 形成外科)
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キーワード:

乳び、リンパ、リンパ管静脈吻合

【背景】先天性心疾患術後の乳び胸,Fontan術後の蛋白漏出性胃腸症,染色体異常症に伴うリンパ循環障害は小児循環器領域の課題である。近年,リンパ流評価法の進歩により病態理解が深まり,リンパ管静脈吻合(LVA)の小児適応が拡大している。 LVAはリンパ管の減圧ができ理論的には鬱滞型に有効とされる。
【目的】小児リンパ管障害に対するLVAの適応と限界を明らかにし,病態評価に基づいた治療選択について検討する。
【方法】2007年から2025年まで当院で施行した小児LVA18名30例(体重中央値2909g,最低1768g,計107箇所吻合)を後方視的に解析した。疾患内訳は心疾患術後4名,先天性乳糜2名,リンパ管奇形2名,複合型10名。リンパ管シンチグラフィ,ICG蛍光造影法によりリンパ流を評価し,「鬱滞型(閉塞・逆流のみ)」と「混合型(鬱滞+破綻)」に分類した。
【結果】奏功(LVA施行後6週間以内のドレーン抜去または主要症状改善による退院)は全体で56%(10/18名)に認めた。疾患別では先天性乳糜2/2名(100%),複合型6/10名(60%),心疾患術後2/4名(50%),リンパ管奇形0/2名(0%)であった(p=0.35)。病態別では鬱滞型1/4名(25%),混合型9/14名(64%)で奏功した(p=0.17)。混合型14名中7名でLVAとリンパ管造影(LG)を同時施行した。重篤な合併症は認めなかった。
【考察】予想に反し鬱滞型の奏功率が25%と低く,混合型で64%と高かった。この要因として,小児心疾患特有の静脈圧高値によるリンパ管-静脈間圧較差不足,混合型でのLG併用による破綻部位の塞栓効果,鬱滞型の症例数の少なさが考えられる。小児では病態分類に加え血行動態評価を含めた包括的アプローチが必要であり,静脈圧高値例ではFontan循環最適化など血行動態改善を優先すべきである。
【結論】LVAは小児リンパ管障害の有力な治療選択肢だが,成人とは異なる病態特性を考慮した適応基準の確立,血行動態改善との組み合わせ,長期予後の検証が課題である。