講演情報

[II-PD8-5]Fontan循環におけるリンパ循環障害の病態理解と治療の最前線

小柳 喬幸1, 井上 政則2 (1.慶應義塾大学 医学部 小児科学教室, 2.藤田医科大学病院 放射線科)
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キーワード:

タンパク漏出性胃腸症、乳糜胸、フォンタン循環

Fontan術後に生じるリンパ循環障害は、蛋白漏出性胃腸症(PLE)や乳糜胸など多彩な臨床像を呈し、依然として治療困難な病態である。従来の内科的治療は対症療法に留まり、病態の本質である「異常リンパ流」そのものへの介入は十分ではなかった。近年、リンパ管イメージングおよびインターベンションの進歩により、これらの病態を直接標的とする治療が可能となってきた。当院では2020年以降、難治性Fontan関連PLEに対し、肝内リンパ管造影および経皮的肝内リンパ管塞栓術を導入し、16例に肝内リンパ管造影、うち13名にリンパ瘻塞栓術を実施した。PLE罹患歴や重症度に関わらず一定の効果を認め、また再発例に対する再介入も有効であり、単回治療ではなく戦略的介入の重要性が明らかとなった。さらに、Fontan術後の難治性乳糜胸に対してもリンパ瘻塞栓を施行し、良好な臨床的改善を得た。このことは、リンパインターベンションが特定の疾患に限定されるものではなく、Fontan関連リンパ障害全体に応用可能であることを示している。今後は、局所の塞栓治療のみならず、胸管流出路評価、リンパ減圧、Fontan循環の最適化を統合した包括的治療戦略が求められる。リンパインターベンションは、Fontan failureに対する新たな治療パラダイムであり、本領域は今まさに「次のステージ」に移行しつつある。