講演情報
[II-TSY-3]22q11.2欠失症候群における成人期を見据えた社会的支援の課題 ― 多様な症例経験からの検討 ―
○檜垣 高史1,3,7, 千阪 俊行2,3,7, 赤澤 祐介4,7, 小出 沙由紀5,7, 柏木 孝介3, 宮田 豊寿3, 渡部 竜助3, 前澤 身江子3, 打田 俊司6,7, 太田 雅明2,3,7 (1.愛媛大学大学院 医学系研究科 小児・思春期療育学講座, 2.愛媛大学大学院 医学系研究科 地域小児保健医療学講座, 3.愛媛大学大学院医学系研究科 小児科学講座, 4.愛媛大学大学院 医学系研究科 循環器・呼吸器・腎高血圧内科学講座, 5.愛媛大学医学部附属病院 PHCU病棟, 6.愛媛大学大学院 医学系研究科 心臓血管・呼吸器外科, 7.愛媛大学医学部附属病院 移行期医療(成人先天性心疾患)センター)
キーワード:
22q11.2欠失症候群、小児慢性特定疾病児童等自立支援事業、知的障害
【緒言】22q11.2欠失症候群は、ファロー四徴症をはじめとする先天性心疾患を80~90%に合併する隣接遺伝子症候群である。心疾患治療成績の向上により生命予後は改善し、成人期まで生存する症例が増加している。一方で、境界から軽度の精神運動発達遅延を背景に、学習、就労、金銭管理、意思決定など社会生活上の課題が成長とともに顕在化しやすい。【対象・方法】特に社会的支援を必要とした22q11.2欠失症候群8例(15~31歳)を対象とし、学習・進学・就職支援、就労継続支援、金銭トラブルに対する社会的擁護、意思決定支援、プレコンセプションケア、精神科救急対応など、各ライフステージで必要とされた社会的支援の内容について後方視的に検討した。【結果】全例に先天性心疾患を認め、軽度~中等度の知的障害を背景に、学童期から思春期にかけて特別支援教育や進学支援を要する症例が多かった。一般就労が困難で就労継続支援への移行を必要とした症例もあり就労支援は重要である。金銭管理能力の未熟さから、クレジットカードによる多額の債務負担や宗教団体等による金銭的被害を受け、成年後見制度による社会的保護や自己破産手続きを要した症例を認めた。また、軽度知的障害を背景に妊娠・避妊に関する適切な判断が困難であった症例や、統合失調症様症状により精神科救急を反復受診した症例も経験した。さらに、保護者自身も同症候群を有し加齢に伴い、再手術などの重大な医療意思決定が困難となり、支援体制構築が課題となった症例もあった。【結語】22q11.2欠失症候群では一定の社会適応が可能である一方、重大な意思決定に対する脆弱性が高く、社会的問題に巻き込まれやすい。ライフステージに応じた多職種連携による継続的支援体制の構築が重要であり、小児循環器および成人期の先天性心疾患患者の診療に携わる関係者にとって認識すべき重要な課題である。
