講演情報

[III-PD10-3]妊娠早期に胎児異常と診断された家族に対する遺伝カウンセリング

二川 弘司1,2 (1.千葉県こども病院, 2.東京都立小児総合医療センター)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

遺伝カウンセリング、出生前遺伝学的検査、胎児心疾患

超音波機器やスクリーニング技術の進歩、出生前遺伝学的検査への関心の高まりを背景に、妊娠早期に診断される胎児心疾患症例は近年増加傾向にある。出生前に診断が得られることで、出生後の治療計画の検討や予後予測、家族の疾患理解など事前準備の時間を持つことが可能となり、出生後医療の質の向上に寄与していると考えられる。一方で、妊娠早期の胎児心疾患診断にはいくつかの課題がある。第一に妊娠早期における診断および予後予測の不確実性である。胎児心疾患の一部は染色体異常や単一遺伝子疾患など遺伝学的背景を有しており、心臓のみの問題ではなく、全身疾患の一部として認められることも多く、遺伝学的視点を含めた評価と情報提供が重要である。正確な予後予測のためには背景疾患の診断が重要であるが、妊娠早期には心外奇形や胎児発育の評価が十分に行えない場合がある。また出生前遺伝学的検査においても、すべての遺伝学的な所見を検出できるわけではなく、遺伝学的背景を完全に否定することは困難である。さらに、胎児の先天性心疾患の診断は家族にとって予期せぬ出来事であり、心理的負担も大きい。このような状況の中で、家族は限られた時間の中で意思決定を行う必要がある。遺伝カウンセリングは、疾患の遺伝学的関与に関する医学的・心理学的・家族的影響について理解し適応していくことを支援するプロセスであり、妊娠早期の胎児心疾患において重要な役割を担う。小児科医は出生後の医療や生活を見据えた情報提供を行う立場として、妊娠早期からカウンセリングに関与する意義があると考えられる。本発表では、妊娠早期に診断された胎児異常に対するカウンセリングにおいて小児科医・遺伝診療がどのように関わるべきかについて、多職種連携の観点も含めて検討したい。