セッション詳細

オンデマンドシンポジウム6:子どもたちの人生を豊かに育むための地域連携 ~こころ・からだ・性の教育~

渡會 睦子(東京医療保健大学 医療保健学部・住民とともに活動する保健師の会),廣末 ゆか(高知学園短期大学・住民とともに活動する保健師の会)
子どもたちのこころとからだの健康や安全を取り巻く環境は、近年、複雑化・深刻化しており、公衆衛生上の重要な課題となっている。子育て・子育ちを個人や家庭のみの責任として捉えるのではなく、地域社会全体で子どもの育ちを支える視点が必要であり、子どもの成長・発達の各段階を通じて、こころ・からだ・性に関する健康教育と支援を切れ目なく届けることが求められている。

統計からも実態がうかがえる。厚生労働省によると、2025年の小中高生の自殺者数は538人で、2年連続過去最多となった。10代では自殺が主要な死因となっており、薬物の過剰摂取による救急搬送の増加も報告されている。文部科学省による2024年度の調査では、小・中学校の不登校児童生徒数は35万3,970人と12年連続で増加し、いじめ認知件数約76万9千件、重大事態1,405件はいずれも過去最多であった。児童虐待やSNSを介した犯罪被害も看過できない状況にある。

これらの課題は、こころ、からだ、性を個別に捉えるのではなく、子どもの生活と発達を包括的に支える必要性を示している。子どもが自分の気持ちやからだの状態に気づき、自分自身への理解を深めることは、自分を大切にする感覚を育むうえで重要である。また、身近な養育者との愛着関係を基盤として、否定的に感じる側面も含めてありのままの自分を受け止め、「自分は自分のままで大丈夫」と感じられる自己肯定感を育むことも大切である。自分を大切にできることは、他者の思いや立場を想像し尊重する力となり、自分の意思を伝え、相手の意思を確かめる同意の力にもつながる。さらに、困ったときに一人や家族だけで抱え込まず、信頼できる人に助けを求める援助希求の力も重要である。これらが、互いを尊重する関係づくりの基盤となる。性の健康教育は、妊娠や性感染症の予防にとどまらず、こうした力を育む教育として位置づける必要がある。

そのためには、家庭や学校だけに役割を委ねるのではなく、母子保健、学校保健、児童福祉、医療、教育、地域住民等が専門性を生かし、予防、早期発見、相談、支援をつなぐ地域連携が不可欠である。本シンポジウムでは、子どもたちが自らのこころ・からだ・性を大切にし、他者とよりよい関係を築きながら豊かな人生を歩むために、地域の大人や専門職が何を伝え、どう支え、どうつながるべきかを考える。

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