セッション詳細

オンデマンドシンポジウム9:One Health,プラネタリーヘルスを考えるー実践活動からの健康評価の検討―

佐藤 祐子(オフィスゆうらしLab.),冨崎 悦子(慶應義塾大学)
人間の健康は社会的・人工的・自然環境に影響され、QOLやウェルビーイングを左右する。地球の健全性を示す「プラネタリー・バウンダリーズ」のうち、気候変動、生物多様性の喪失、環境汚染が地球の3つの危機とされ(UNEP, 2009)、地球規模のアプローチが急務となっている。

このような中、「人間の健康と地球環境の持続可能性が強く相互に依存しているとの立場に立ち、政治・経済・社会の在り方を注視しながら最上の健康と公正性の実現を目指す、アカデミアにとどまらない超学際的領域と社会活動である。」との概念が「プラネタリーヘルス」として提唱された(Lancet, 2015)。また、人畜共通感染症の考えに端を発した「ヒトと動物の健康と環境を一つに捉えたアプローチ」であるワンヘルスの定義には、「人間、動植物、それを含む生態系の健康が密接に関連し、相互に依存し、社会の様々なレベルの複数のセクター、分野、コミュニティが、健康と生態系に対する脅威に立ち向かうこと」が加えられている(ワンヘルス専門家パネルOHHLEP, 2021)。

これら欧米発の概念が普及・政策化する一方、アジアでは独自の気候・風土や歴史文化に即した実践と議論が求められる。日本には八百万信仰や自然と一体とする古来の自然観、「山川草木悉皆成仏」等の思想があり、多種・固有の生物が生息する生物多様性のホットスポットでもある。この国土で、1万以上の市民団体・NPOが自然保護や環境活動を担ってきた。

本シンポジウムでは生態系サービスの枠組みを用い、国土の8割以上を占める緑地に注目して地域での実践活動を紹介する。緑地の生態系は植物と生物が織りなす空間であり、人間への恩恵である健康要素は複合的である。生活圏の緑地活動を紹介し、現場で感じられる変化と先行研究の知見を往還しながら、適正に評価し得る健康指標を議論したい。

政策評価や研究実装に加え、身近な実践に対する学術的評価を検討し、分野を超えたアプローチで持続可能性へ接続することを目指す。子どもから高齢者まで、障害のある子どもから大人まで、健康状態や背景が異なるさまざまな人々にとって植物や土、木といった「自然との関わり」がどのような意味を持ち、心身の健康やウェルビーイングにもたらす影響とは何か、その本質的な価値を深く捉え直す視点も大切にしたい。

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