セッション詳細

交流集会13 進行がん患者の苦痛と患者と家族の苦悩を悪液質(カヘキシア)の視点で解釈しよう

2026年6月19日(金) 19:00 〜 20:00
第13会場
企画代表者: 天野 晃滋(大阪国際がんセンター 支持・緩和医療科)
企画協力者: 森 直治(愛知医科大学病院 緩和ケアセンター),奥川 喜永(三重大学医学部附属病院 ゲノム医療部),石橋 美樹(大阪国際がんセンター 歯科),早川 昌子(大阪国際がんセンター 緩和ケアセンター)
これまで進行がんにおける悪液質(カヘキシア)では、体重や骨格筋など身体面に関する変化が強調されてきたが、カヘキシアは患者の身体症状のみならず精神症状と関連し、患者と家族の心理社会的苦悩を増幅させる。これらの根源は、カヘキシアの本態である全身性炎症と考えられる。つまり、腫瘍と宿主の免疫応答による末梢組織での局所性炎症が中枢神経に伝達され中枢性炎症になり、視床下部・下垂体・副腎軸が作動し、交感神経系が優位になり、全身性炎症に発展する。その過程でさまざまな症状(発熱・倦怠感・食欲不振・早期満腹感・眠気・睡眠障害・抑うつ・不安など)が出現する。これらの症状群は、感染症によるsickness behaviorと共通している。また、これらの症状は相互作用し、患者の苦悩を増強させるだけでなく、家族の苦悩の原因にもなる。近年、これらのカヘキシアと関連する症状と苦悩をnutrition impact symptom (NIS)とeating-related distress (ERD)ととらえ、緩和ケアをうける進行がん患者でのいくつかの研究結果が報告されている。また、カヘキシアで苦しむ患者と家族には、ホリスティック(心身一体的)かつマルチモーダル(集学的)なケアが必要で、その実践には多職種でのチームアプローチが重要である。このように患者と家族を対象とした、多職種でのチームアプローチとホリスティックマルチモーダルケアの重要性が認識されるようになってきたものの、その内容はまだ確立されておらず、どの職種がどのケアを担当するべきか不明のままである。今回は、進行がん患者のNISと患者と家族のERDをカヘキシアの視点で解釈し、それぞれへのケアを発展させるべく多職種で熱く討議したい。