セッション詳細

[SY10]シンポジウム10_森田療法は外来精神療法の効率化に寄与し得るか?―短期精神療法としての森田療法―

2025年6月19日(木) 10:45 〜 12:45
D会場(神戸国際会議場 4階 401会議室)
司会:北西 憲二(森田療法研究所・北西クリニック)
メインコーディネーター:舘野 歩(東京慈恵会医科大学精神医学講座)
サブコーディネーター:田所 重紀(札幌医科大学神経精神医学講座)
我が国の精神科医療においては、17000人にも満たない精神科医が390万人もの通院患者に対して外来診療を提供しなければならず、そのために7割以上の診療を10分以内に終えなければならないという厳しい時間的制約がある。それゆえ我が国の外来診療においては、より短時間でより効果的な精神療法を提供するという、外来精神療法の効率化が喫緊の課題であると言える。さて、私たち4名のシンポジストは、100 年以上前にわが国の精神科医・森田正馬によって独自に創始された森田療法の実践と研究に携わっている立場から、この森田療法こそが外来精神療法の効率化において重要な鍵を握っていると考えている。そしてその理由は、森田療法の病態および治療理論が非常にシンプルであり、かつ、精神科医療において非常に広範囲に認める神経症的不安に特異的な精神療法であるから、というものである。すなわち私たちは、外来診療において森田療法のシンプルな治療原理を効率的に活用することにより、幅広い精神疾患患者に対して効果的な外来精神療法を短時間で提供できる道が拓けてくると考えている。舘野は、森田療法とアクセプタンス&コミットメントセラピーを中心とした第三世代の認知行動療法(以下CBT)の比較研究を行っている立場から、精神症状に焦点をあてるCBTとは異なり、人間の生きる力や生き方を中心的に扱う心理的介入法としての森田療法の存在意義とその活用方法について論じる。田所は、森田療法をメタ心理学的に研究している立場から、その治療原理をシンプルかつコンパクトな理論として提示することにより、森田療法が短時間で効果的に施行可能な精神療法であることを理論的に論じる。樋之口は、森田療法を長年にわたって実臨床で活用してきた精神科医の立場から、一般の精神科クリニックにおいて、短期精神療法として森田療法を活用する方法について論じる。若島は、ブリーフセラピーの実践家かつ研究者の立場から、森田療法を短期治療として活用する方法を理論と実践の両面から論じる。北西は、長年にわたり森田療法の実践および研究をリードしてきた立場から、以上の4名のシンポジストによる発表内容を俯瞰的に整理し、効果的な短期精神療法として森田療法が我が国の外来診療において広く活用され得る可能性についてコメントする。以上の発表および指定討論を通じて、森田療法が外来精神療法の効率化に大きく貢献し得ることを伝えたい。

[SY10-1]アクセプタンス&コミットメントセラピーとの比較から短期精神療法としての外来森田療法を考察する

舘野 歩 (東京慈恵会科大学精神医学講座)

[SY10-2]森田療法のタイムパフォーマンスとコストパフォーマンスが顕著に優れている理由

田所 重紀 (札幌医科大学医学部神経精神医学講座)

[SY10-3]短時間診療における森田療法の可能性について -症例を交えながら-

樋之口 潤一郎 (潤クリニック)

[SY10-4]改訂スリー・ステップス・モデルについて

若島 孔文 (東北大学大学院教育学研究科)

[指定発言]指定発言

北西 憲二 (森田療法研究所・北西クリニック)