セッション詳細

[SY12]シンポジウム12_精神分析的視点からパーソナルリカバリーを考える

2025年6月19日(木) 15:45 〜 17:45
D会場(神戸国際会議場 4階 401会議室)
司会:加茂 聡子(四谷こころのクリニック)、岩永 洋一(川谷医院)
メインコーディネーター:池田 暁史(大正大学/個人開業)
サブコーディネーター:中村 浩平(医療法人社団更生会こころホスピタル草津)
近年、リカバリーの概念が注目されている。そこでは症状や機能の改善といった臨床的リカバリーだけでなく、「自分らしさの回復」を目指すパーソナルリカバリーを考慮する必要性が主張されている。パーソナルリカバリーの目指すところは、主体的に生きること、自分らしさを回復すること、他者との良好なつながり、将来への希望などとされている。そして、多様性、個別性を尊重し、精神障害を受け入れ現実に即して生きていくことの重要性も語られている。
その一方で、パーソナルリカバリーの達成のために具体的に何をどう援助する必要があるかについてはあまり触れられていない。パーソナルリカバリーが「よりよい人生を送る」ということであれば大変壮大なテーマとなるし、個別性が強く、さまざまな分野と関連することになる。パーソナルリカバリーの達成が困難で時間のかかるものであることは容易に想像できる。患者がパーソナルリカバリーを達成する長い年月を支え続けることが私たち精神科医の仕事のひとつであろう。
精神分析は、本来症状だけに注目することなく、患者の人間的包括的な理解と変化を目指し、治療者と患者の無意識的交流に注目してきた。その目指すところはパーソナルリカバリーと重なるともいえる。パーソナルリカバリーが患者の主観的体験や患者から学ぶことを重視する点も、精神分析的な臨床と親和性が高いように思える。そもそも、精神分析の伝統的な技法である自由連想は、主体性の回復に強みをもち、その人らしさを再発見していく手助けとなりうる。
さらに、精神分析的な視点は、患者を長い年月支え続けるために、治療者側が長期的な時間な見通しを持つことを可能にすると思われる。
本シンポジウムでは、パーソナルリカバリーに精神分析的な視点がいかに貢献できるかを、社会精神医学的な視点を備えた指定発言者とともに考えたい。

[SY12-1]精神分析とパーソナルリカバリー その類似点と相違点からみえてくるもの

中村 浩平 (こころホスピタル草津)

[SY12-2]自分をメンタライズすることと、人生を生きなおすこと

池田 暁史1,2 (1.大正大学, 2.個人開業)

[SY12-3]パーソナルリカバリーを超えて:精神分析の視点

藤山 直樹 (個人開業)

[指定発言]指定発言

熊倉 陽介 (東京大学医学部附属病院精神神経科)