セッション詳細
[SY25]シンポジウム25_レジリエンスアプローチによる依存症治療~「止めさせる」治療からの脱却
2025年6月19日(木) 8:30 〜 10:30
H会場(神戸国際会議場 5階 502会議室)
司会:田中 増郎(公益財団法人慈圭会慈圭病院)、松井 佑樹(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター)
メインコーディネーター:佐久間 寛之(独立行政法人国立病院機構さいがた医療センター)
サブコーディネーター:田中 増郎(公益財団法人慈圭会慈圭病院)、入來 晃久(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪精神医療センター)
メインコーディネーター:佐久間 寛之(独立行政法人国立病院機構さいがた医療センター)
サブコーディネーター:田中 増郎(公益財団法人慈圭会慈圭病院)、入來 晃久(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪精神医療センター)
従来、依存症治療はいかに依存行動を止めさせるか、完全に断酒させるかに焦点を当てていた。認知行動療法や集団プログラム、個人精神療法、自助グループ導入などさまざまな治療や介入は酒や薬を止めるための取り組みであった。一方ここ数年、自己治療仮説や愛着障害といった、生存戦略ないしは適応行動としての依存行動に光が当てられている。自身の心的苦痛をたとえ一時的にであれ、緩和させ忘れさせてくれる物質ないし行動への希求が依存の原理であるという視点である。その視点に立てば、過量飲酒やオーバードーズといった、周囲からは自己破壊としか見られない依存行動も、本人には心的苦痛を軽減し、束の間の安らぎをもたらす生存戦略となる。こう言った視点から見た場合、依存行動を止めるかどうかにのみ焦点を当てた治療は奏功しないばかりか、外挿的な治療目標、本人の心的苦痛の緩和に役立たない治療的アプローチはかえって患者の心的苦痛を高め、治療や支援からのドロップアウトを招きかねない。近年、レジリエンスやストレングスに着目した治療を導入する動きが見られる。こういったアプローチでは患者の心的苦痛を治療側が理解し、レジリエンスモデルやストレングスモデルに基づいて患者と治療同盟を構築し、エンパワメントを行っている。断酒という結論ありきの治療ではなく、心理的安全性が担保された治療チームと本人とが、ともに協調して治療目標を模索する。
本シンポジウムではレジリエンスの視点に立った依存症の理解、治療の実際、限界と課題、展望、地域連携への展開などをシンポジストから提供する。依存症に対するレジリエンスアプローチは経験的に先進的な医療者によって行われていたが、いままで取り上げられる機会がなかった。本シンポジウムを聴講した者は、依存症に対する視点が大きく変わるはずである。
本シンポジウムではレジリエンスの視点に立った依存症の理解、治療の実際、限界と課題、展望、地域連携への展開などをシンポジストから提供する。依存症に対するレジリエンスアプローチは経験的に先進的な医療者によって行われていたが、いままで取り上げられる機会がなかった。本シンポジウムを聴講した者は、依存症に対する視点が大きく変わるはずである。
[SY25-1]やめさせない思春期ゲーム行動症治療~リアルの世界の生きやすさが子どものレジリエンスを引き出す~
○青山 久美 (神奈川県立精神医療センター)
[SY25-2]専門医療機関でなくてもできる依存症治療
○濵本 妙子 (医療法人サヂカム会三国丘病院)
[SY25-3]本来持つレジリエンスを取り戻す「人を大切にする」依存症診療
○入來 晃久 (大阪精神医療センター)
[SY25-4]「自傷を止めさせる」を越えて~人と関わり生きる目的を再発見するために~
○川合 優子, 大坪 建, 上阪 美穂子, 山下 葉子, 山田 亜夢未, 柿原 阿希, 益田 和利, 三好 紀子 (独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター)
[SY25-5]依存症者が「モノ」でなく「人」を信じてストレスに対処する難しさ、そして変化の可能性―調査研究を通して
○板橋 登子 (神奈川県立精神医療センター)
[指定発言]指定発言
○松口 和憲 (独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター)
[指定発言]指定発言
○湯本 洋介 (独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター)