セッション詳細
[SY26]シンポジウム26_精神疾患を抱える患者の子育てをどう支援するか: ヤングケアラー家庭に対する精神科主治医の役割
2025年6月19日(木) 10:45 〜 12:45
H会場(神戸国際会議場 5階 502会議室)
司会:岡田 俊(奈良県立医科大学精神医学講座)
メインコーディネーター:小野 美樹(東京医科大学精神医学分野)
サブコーディネーター:岡田 俊(奈良県立医科大学精神医学講座)
メインコーディネーター:小野 美樹(東京医科大学精神医学分野)
サブコーディネーター:岡田 俊(奈良県立医科大学精神医学講座)
ヤングケアラー(young carer: YC)とは、障害や病気のある家族の介護を、大人が担うような責任を背負いながら行っている子どもや若者を指す。精神疾患を抱える親のケアを行うケースも少なくなく、成人を診療する精神科医にとって、患者の子どもがYC、もしくはYC予備軍である可能性がある。昨年の総会では、YCの歴史や、子ども時代の介護経験が将来のメンタルヘルスに与える影響について議論し、精神科医が患者の家族、特に子どもに注意を向ける重要性を強調した。
本年度のシンポジウムでは、この「気づき」からさらに一歩進み、成人の診療をする精神科医が患者と子育てについて話し合い、適切な支援機関と連携するための具体的なスキルに焦点を当てる。良い親でありたいが、病気のために思うようにできない患者にとって、主治医からのねぎらいの言葉は大きな意味を持つ。また、スティグマの影響で、親は子どもに自分の病気を伝えることをためらうことが多い。しかし、大人が伝えなくても、子どもはすでに自分の家庭が「普通」ではないと感じ取っている。(Goldstone et.al 2011)子どもは、親の病気の原因が自分にあると考えてしまい、苦しむことがある。また、親の病気について家族内で話すことがタブーとされているため、悩みを他人に打ち明けられず、援助を求められないこともある。(土田2020)このような状況で、親の主治医である精神科医が子どもに対して、「親の病気は自分のせいではない」ということを伝えることも大きな意味を持つであろう。このようにヤングケアラー家庭におてい、あるいはヤングケアラー化を防ぐ予防の観点からも、精神科主治医の担う役割は大きい。
まず、フィンランドの福祉制度に注目する。子育て支援や子どもへのサポートが、精神科医療の一環として組み込まれている点が特徴である。『子どもにどうしてあげればいい?「こころの病気を抱える親」のハンドブック』著者であり、家族支援プログラムの開発で国際的に評価されているフィンランドの児童精神科医ソランタウス博士に、小野・上野の対談形式で海外から動画録画で参加いただく。対談では、ソランタウス博士の親を尊重し、子どもについて共に考える支援について、なぜ子どもに親の病気を伝えることが大切なのか、どのように伝えるのか、そして主治医だからこそできる支援策について議論する。次に、小野は支援ハンドアウトを活用し、主治医と患者が子どものことを話しやすい環境づくりの実践例を紹介する。さらに、先行研究に基づき、精神疾患を抱える親の子育て支援の有用性や、子どもに親の病気を伝えることの重要性、予防的支援についても議論する。最後に、こどもぴあの副代表である小林は、統合失調症の母親を介護したYCとしての個人的な経験と、自治体でYCコーディネーターとしての現場でのケースワークを紹介する。指定発言者には、精神疾患を抱える親とその子どもの支援を行っているNPO法人ぷるすあるは理事の北野を迎える。
本年度のシンポジウムでは、この「気づき」からさらに一歩進み、成人の診療をする精神科医が患者と子育てについて話し合い、適切な支援機関と連携するための具体的なスキルに焦点を当てる。良い親でありたいが、病気のために思うようにできない患者にとって、主治医からのねぎらいの言葉は大きな意味を持つ。また、スティグマの影響で、親は子どもに自分の病気を伝えることをためらうことが多い。しかし、大人が伝えなくても、子どもはすでに自分の家庭が「普通」ではないと感じ取っている。(Goldstone et.al 2011)子どもは、親の病気の原因が自分にあると考えてしまい、苦しむことがある。また、親の病気について家族内で話すことがタブーとされているため、悩みを他人に打ち明けられず、援助を求められないこともある。(土田2020)このような状況で、親の主治医である精神科医が子どもに対して、「親の病気は自分のせいではない」ということを伝えることも大きな意味を持つであろう。このようにヤングケアラー家庭におてい、あるいはヤングケアラー化を防ぐ予防の観点からも、精神科主治医の担う役割は大きい。
まず、フィンランドの福祉制度に注目する。子育て支援や子どもへのサポートが、精神科医療の一環として組み込まれている点が特徴である。『子どもにどうしてあげればいい?「こころの病気を抱える親」のハンドブック』著者であり、家族支援プログラムの開発で国際的に評価されているフィンランドの児童精神科医ソランタウス博士に、小野・上野の対談形式で海外から動画録画で参加いただく。対談では、ソランタウス博士の親を尊重し、子どもについて共に考える支援について、なぜ子どもに親の病気を伝えることが大切なのか、どのように伝えるのか、そして主治医だからこそできる支援策について議論する。次に、小野は支援ハンドアウトを活用し、主治医と患者が子どものことを話しやすい環境づくりの実践例を紹介する。さらに、先行研究に基づき、精神疾患を抱える親の子育て支援の有用性や、子どもに親の病気を伝えることの重要性、予防的支援についても議論する。最後に、こどもぴあの副代表である小林は、統合失調症の母親を介護したYCとしての個人的な経験と、自治体でYCコーディネーターとしての現場でのケースワークを紹介する。指定発言者には、精神疾患を抱える親とその子どもの支援を行っているNPO法人ぷるすあるは理事の北野を迎える。
[SY26-1]精神疾患を有する親と子ども・家族への支援:精神科訪問看護におけるLet’s Talk about Children
○上野 里絵 (共立女子大学看護学部)
[SY26-2]Let's Talk about Children when parents have mental health problems
○Tytti Solantaus (Finnish Institute for Health and Welfar)
[SY26-3]精神疾患を抱える親の子育て支援 -主治医が果たす役割と支援ツールの活用-
○小野 美樹 (東京医科大学精神医学分野)
[SY26-4]精神疾患のある親をもつ子どもへの支援の必要性とヤングケアラーコーディネーターの役割
○小林 鮎奈1,2 (1.精神疾患の親をもつ子どもの会こどもぴあ, 2.一般社団法人ヤングケアラー協会)
[指定発言]指定発言
○北野 陽子 (NPO法人ぷるすあるは)