セッション詳細

[SY29]シンポジウム29_日本の精神科医療・保健福祉の未来を考える 2025

2025年6月19日(木) 8:30 〜 10:30
K会場(神戸ポートピアホテル 本館 B1階 偕楽1)
司会:佐久間 啓(社会医療法人あさかホスピタル)、相澤 明憲(特定医療法人佐藤会弓削病院)
メインコーディネーター:水野 雅文(社会医療法人あさかホスピタル)
サブコーディネーター:佐久間 啓(社会医療法人あさかホスピタル)、相澤 明憲(特定医療法人佐藤会弓削病院)
精神医療・福祉のあり方に関する常任委員会
日本精神神経学会では、令和3年9月より精神医療福祉のあり方常任委員会、急性期治療のあり方検討委員会、慢性療養者の医療・支援のあり方検討委員会、地域ケアにおける自立支援のあり方検討委員会の4つの委員会を新たに設置した。2023年5月20 日に「わが国の精神科医療・保健福祉のあるべき姿について」の総論を公表した(https://www.jspn.or.jp/modules/advocacy/index.php?content_id=35)。今回は、3委員会の検討内容の進捗について、各委員会の代表者が発表し、聴衆との意見交換を行い、わが国の精神科医療・保健福祉のあるべき姿についての検討を深めたい。
精神科急性期医療については、精神障害者が地域で生活する上で精神症状が悪化した場合、タイムリーな治療と支援により、病状の回復を最大化することであるが、精神障害の多様化とともに、求められるニーズも多様化している。精神科医療関係者のみで業務を遂行すればよい時代は過ぎ去り、「その人らしい暮らし」を支えるため、他の診療科や他の近接領域の支援機関との連携や協働が必要である。急性期治療のあり方委員会では、精神科急性期医療の今後のあるべき姿について、入院、外来、児童、高齢者、身体合併症、災害時、高度・専門医療、地域連携、権利擁護等の観点から検討を行ってきた。その実装については地域差が大きく、解決すべき課題も多いが、現時点までの議論について報告する。
慢性期においては、精神科の慢性療養者を、精神疾患を有する人のうち症状が重症かつ慢性である、あるいは増悪を繰り返し、高い医療密度を要する。必要かつ十分な治療が達成されていない人々と、精神疾患の重症度を満たすような症状に至らないためのリハビリテーションと継続的な生活面の支援が必要な人々の2群に分けたうえ、彼らに対する医療・支援のあるべき姿とその実現のための諸問題を、1)退院に向けての医療と支援、2)退院後の住居と医療のあり方、3)それらの実現のために必要なモデルという3つの班に分かれて検討を続けてきた、これまでの議論を紹介する。
地域ケアにおける自立支援のあり方検討委員会では、精神疾患やメンタルヘルス不調に関係する様々な支援ニーズについてライフステージを踏まえて整理し、それらの支援ニーズに対応するうえでの精神医療の役割や、目指すべき方向性について論じてきた。社会情勢や人口構成の変化に伴い、精神医療に期待されている役割は多様化しており、保健福祉その他の関係者との連携の必要性も増している。本委員会では、精神医療にできることとできないことを見極めつつ、本人の主体性と支援ニーズを重視した医療を提供するための具体的方法を検討するとともに、地域における権利擁護や普及啓発のあり方についても議論を重ねている。シンポジウムでは、これらの議論の骨子について報告する。
これら3班の検討結果を総合して報告し、委員会としての提言作成に向けて検討を深めるため機会としたい。

[SY29-1]総論「わが国の精神科医療・保健福祉のあるべき姿について」をめぐる議論とその後の検討について

水野 雅文 (社会医療法人あさかホスピタル)

[SY29-2]多様化する支援ニーズに応える地域ケアの未来像

藤井 千代 (国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所)

[SY29-3]精神科急性期医療の今後のあるべき姿

森脇 久視 (神奈川県立精神医療センター)

[SY29-4]慢性療養者の医療・支援のあり方検討委員会からの提言

針間 博彦 (東京都立松沢病院)