セッション詳細

[SY34]シンポジウム34_ビデオ脳波で学ぶ、てんかんと併存し鑑別することが求められる精神疾患

2025年6月19日(木) 8:30 〜 10:30
L会場(神戸ポートピアホテル 本館 B1階 偕楽2)
司会:栗田 紹子(市立稚内病院)、櫻井 高太郎(医療法人福智会すずかけクリニック)
メインコーディネーター:長谷川 直哉(国立病院機構西新潟中央病院)
サブコーディネーター:谷口 豪(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター)、西田 拓司(静岡てんかん・神経医療センター)
オンデマンド配信対象外
てんかんは大脳神経細胞の過剰な興奮により発作性の症状を繰り返す疾患の総称である。てんかんの有病率は0.8~1.2%と頻度の高い神経疾患の一つであり、新生児から高齢者まですべての年齢層で発症しうる疾患である。てんかん患者の精神障害全体の併発率については様々な報告があるが、約3割前後とするものが多い。よって日本ではてんかんと精神症状を併発している患者は数十万人くらいと見積もることができる。てんかんに併発する精神疾患は気分障害、不安障害、精神病性障害、解離性障害、パーソナリティ障害、発達障害、認知症など様々である。このため一般の精神科臨床現場においてもてんかんに併発する精神症状やてんかんと鑑別を要する精神症状を診療する機会は多い。
しかしながらてんかんと精神症状の鑑別は極めて複雑である。小児の欠神発作がADHDの不注意の症状と評価されるなどてんかん発作が精神症状に類似する場合もあれば、心因性非てんかん性発作のように精神症状がてんかん発作に類似する場合もある。また高齢者の側頭葉てんかんのように、てんかん発作がけいれんを伴わない意識減損が主体であるためてんかん発作は気付かれず、発作に伴う記憶障害が主訴となりアルツハイマー型認知症などと誤診されるようなケースもある。精神症状をてんかん発作と誤診し、抗てんかん薬で治療しようとしても効果を得ることはできない。逆に精神症状の背景にてんかんがある場合は向精神薬、特に発作閾値を低下させる抗精神病薬や抗うつ剤の使用は、てんかん発作を悪化させ、それに伴い精神症状が逆に悪化することさえある。このように治療方針が大きく異なってくるため、てんかんと精神症状を正しく鑑別することは重要である。
しかしながらどのようなケースの場合はてんかんを疑うのか、精神症状とてんかんが併発している場合はどこまでてんかん発作で説明できるのか、またどのような場合はてんかん診療医に紹介するのかなど悩んだ経験のある精神科医は多いと思われる。
このように悩む理由のひとつに、近年一般精神科医はてんかん診療に携わっていないことが多いため、実際にてんかん発作をみた機会が乏しく、てんかん発作を具体的にイメージするのが難しいことがあると思われる。
このため本シンポジウムでは、てんかん発作を実際に観察できる長時間ビデオ脳波同時記録検査を用いて診療を行っている精神科てんかん専門医より、精神症状と鑑別を要するてんかん発作をビデオ脳波同時記録で提示し、その解説を行う。そして普段てんかんを診療する機会の少ない精神科の先生方に実際にてんかん発作をみていただくことで、日常診療に役立ててもらうことを目的とした。

[SY34-1]てんかんと精神症状:概説と症例提示

長谷川 直哉 (国立病院機構西新潟中央病院)

[SY34-2]神経発達症のある人のてんかん発作疑いの症状に対する長時間ビデオ脳波の有用性と限界について

谷口 豪, 中田 千尋, 加藤 英生, 大竹 眞央, 梅田 真洋, 斉藤 聡志, 藤 雄一朗 (国立精神・神経医療研究センター病院てんかん診療部)

[SY34-3]ビデオ脳波による精神症状とてんかん発作の鑑別

西田 拓司 (国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター)

[SY34-4]認知症とてんかん

渡邊 さつき (埼玉医科大学病院神経精神科・心療内科)