セッション詳細
[SY35]シンポジウム35_統合失調症 up to date:よりよい診断と治療を目指して
2025年6月19日(木) 10:45 〜 12:45
L会場(神戸ポートピアホテル 本館 B1階 偕楽2)
司会:橋本 亮太(国立精神・神経医療研究センター)、村井 俊哉(京都大学大学院医学研究科脳病態生理学講座(精神医学))
メインコーディネーター:橋本 亮太(国立精神・神経医療研究センター)
サブコーディネーター:村井 俊哉(京都大学大学院医学研究科脳病態生理学講座(精神医学))
メインコーディネーター:橋本 亮太(国立精神・神経医療研究センター)
サブコーディネーター:村井 俊哉(京都大学大学院医学研究科脳病態生理学講座(精神医学))
代表的な精神疾患である統合失調症は、陽性症状、陰性症状、認知機能障害などの主要な症候があり、社会機能障害を生じる。診断は症状に基づいて主観的に行われるため、医師間における違いが生じることが知られている。診断基準においては主にICDやDSMが用いられているが、この主な二つの診断基準においても若干の差異があるのが現状である。このような診断を巡る課題について第一演者の杉原が概説する。
このような状況の中、客観的な検査に基づく診断が求められているが、現時点では客観的な検査はなく、客観的補助診断法の開発が求められている。神経生理機能検査、脳画像検査、認知機能検査、ゲノム検査などの様々なモダリティを用いた客観的補助診断法が開発されており、その最前線について第二演者の森田が概説する。
客観的補助診断法の開発の基盤として、分子遺伝学や脳画像の病態研究がなされている。分子遺伝学においては、全ゲノム解析研究が数十万規模の患者と健常者で行われるようになり、リスクバリアントが見つかってきた。このようなリスクバリアントの一つ一つの効果サイズは小さいことが知られているが、それらを合わせたポリジェニックリスクという概念が提唱されており、その病態について第三演者の池田が概説する。脳画像研究においては、数千規模の患者と健常者の解析により、大脳皮質厚が薄く、海馬が小さく、側脳室体積が大きいことなどが明らかになってきた。このような特徴は統合失調症に特異的なものと他の精神疾患と共通に認められるものがあることが報告され、疾患横断的にデータ駆動型に解析を行う方法がトレンドとなっている。このような画像病態研究の動向について第四演者の松本が概説する。
統合失調症の治療においては、まず治療関係を構築し、薬物療法や環境調整などを行って症状を緩和し、精神科リハビリテーションを行って機能回復を目指す。薬物治療は主に抗精神病薬を用いて行うことがガイドラインにおいても推奨されている。このような治療の概要を踏まえ、現状における課題と今後の方向性について第五演者の稲田が概説する。
最後に、第一指定発言者の夏苅が当事者や家族の視点を踏まえて、よりよい統合失調症の診断と治療を目指した今後の方向性について発言し、第二指定発言者の鈴木が統合失調症の臨床・教育・研究の経験を踏まえてまとめる。
このような状況の中、客観的な検査に基づく診断が求められているが、現時点では客観的な検査はなく、客観的補助診断法の開発が求められている。神経生理機能検査、脳画像検査、認知機能検査、ゲノム検査などの様々なモダリティを用いた客観的補助診断法が開発されており、その最前線について第二演者の森田が概説する。
客観的補助診断法の開発の基盤として、分子遺伝学や脳画像の病態研究がなされている。分子遺伝学においては、全ゲノム解析研究が数十万規模の患者と健常者で行われるようになり、リスクバリアントが見つかってきた。このようなリスクバリアントの一つ一つの効果サイズは小さいことが知られているが、それらを合わせたポリジェニックリスクという概念が提唱されており、その病態について第三演者の池田が概説する。脳画像研究においては、数千規模の患者と健常者の解析により、大脳皮質厚が薄く、海馬が小さく、側脳室体積が大きいことなどが明らかになってきた。このような特徴は統合失調症に特異的なものと他の精神疾患と共通に認められるものがあることが報告され、疾患横断的にデータ駆動型に解析を行う方法がトレンドとなっている。このような画像病態研究の動向について第四演者の松本が概説する。
統合失調症の治療においては、まず治療関係を構築し、薬物療法や環境調整などを行って症状を緩和し、精神科リハビリテーションを行って機能回復を目指す。薬物治療は主に抗精神病薬を用いて行うことがガイドラインにおいても推奨されている。このような治療の概要を踏まえ、現状における課題と今後の方向性について第五演者の稲田が概説する。
最後に、第一指定発言者の夏苅が当事者や家族の視点を踏まえて、よりよい統合失調症の診断と治療を目指した今後の方向性について発言し、第二指定発言者の鈴木が統合失調症の臨床・教育・研究の経験を踏まえてまとめる。
[SY35-1]統合失調症の診断基準の現状と課題:DSM-5とICD-11の比較を中心に
○杉原 玄一 (東京科学大学精神行動医科学分野)
[SY35-2]統合失調症の補助診断法開発の動向
○森田 健太郎 (東京大学医学部附属病院リハビリテーション部)
[SY35-3]臨床精神医学に活かすゲノム研究の成果
○池田 匡志 (名古屋大学大学院医学系研究科精神医学)
[SY35-4]統合失調症の脳画像病態研究の動向
○松本 純弥 (国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神疾患病態研究部)
[SY35-5]統合失調症の治療の動向
○稲田 健 (北里大学医学部精神科学)
[指定発言]指定発言
○夏苅 郁子 (やきつべの径診療所)
[指定発言]指定発言
○鈴木 道雄1,2 (1.糸魚川診療所, 2.有沢橋病院)