セッション詳細

[SY50]シンポジウム50_BPSDの対応アップデート かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン第3版を踏まえて

2025年6月19日(木) 15:45 〜 17:45
P会場(神戸国際展示場 1号館 2階 展示室A)
司会:新井 哲明(筑波大学医学医療系臨床医学域精神医学)、馬場 元(順天堂大学医学部付属順天堂越谷病院)
メインコーディネーター:品川 俊一郎(東京慈恵会医科大学精神医学講座)
サブコーディネーター:新井 哲明(筑波大学医学医療系臨床医学域精神医学)
認知症患者には様々な種類の行動・心理症状(BPSD)が出現し、全体の約9割が軽症から重症まで何らかのBPSDを経験する。BPSDの悪化は介護負担の増悪、経済的コスト増加、施設入所の早期化、患者・介護者のQOLの悪化に繋がるため、早急な対応が必要となる。このようなBPSDに対して、高齢者を日常診療しているかかりつけ医が対応することも多いが、BPSDの薬物治療は認知症の原因疾患を鑑別診断した上で、専門医療機関との連携のもとに、適切に行われることが望ましい。これまで厚生労働省による「かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン」(以下ガイドライン)が第2版まで策定されてきたが、2024年に本邦でも抗精神病薬であるブレクスピプラゾールがアルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動に対して適応拡大されるなど、近年のBPSDへの薬物療法を取り巻く環境は大きく変化を続けている。その中でガイドライン第3版が2025年3月に策定予定であり、アルゴリズムの見直しおよび治療薬についての情報のアップデートを行う予定である。本シンポジウムでは、ガイドライン第3版を策定したメンバーによってその内容を紹介しながら、かかりつけ医からの連携を期待される立場にある精神科医にとっても役立つBPSD治療の情報のアップデートを行うことが目的である。まずは根本によって作成経緯と作成のために行ったアンケートの結果の紹介を行う。次に品川が治療アルゴリズムにおいて重要となるBPSDの合理的な症状分類法の整理を行う。そして治療では、まず優先されるべき非薬物療法を含めたマネジメントについて東が概説し、次に薬物介入の最新アルゴリズムについて、症候別に笠貫と小林が紹介する。本シンポジウムは日本精神神経学会の会員である精神科医にとっても有意義なものであり、認知症医療における精神科医の立場を明確にするものとしたい。なお本シンポジウムは調査・研究ではなく、総説的な内容となるため研究に関する倫理指針には該当しなかった。

[SY50-1]かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第3版)作成経緯とアンケート紹介

根本 清貴, 新井 哲明 (筑波大学医学医療系精神医学)

[SY50-2]かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドラインにおけるBPSDの合理的な分類

品川 俊一郎 (東京慈恵医科大学附属病院)

[SY50-3]非薬物療法を含めたマネジメント

東 晋二 (東京医科大学茨城医療センターメンタルヘルス科)

[SY50-4]アジテーション/幻覚・妄想に対する薬物的介入

笠貫 浩史 (聖マリアンナ医科大学神経精神科学教室)

[SY50-5]認知症のうつ、アパシー、睡眠障害に対する薬物治療

小林 良太 (山形大学医学部精神医学講座)