セッション詳細

[SY52]シンポジウム52_来るべき激甚災害に備え災害精神医学をいかに伝え、いかに学ぶか

2025年6月19日(木) 8:30 〜 10:30
Q会場(神戸国際展示場 1号館 2階 展示室B)
司会:富田 博秋(東北大学大学院医学系研究科精神神経学分野)、高橋 晶(筑波大学医学医療系災害・地域精神医学/厚生労働省委託事業DPAT事務局)
メインコーディネーター:富田 博秋(東北大学大学院医学系研究科精神神経学分野)
サブコーディネーター:高橋 晶(筑波大学医学医療系災害・地域精神医学/厚生労働省委託事業DPAT事務局)
災害支援委員会
2011年の東日本大震災後、DPAT体制が発足して10年が経過し、全国レベル・各県レベルでの事前の備えの枠組み、災害救援体制の枠組みの中でのDMAT等他の組織と連携しての支援体制、情報を集積・共有する仕組みの整備・運用がなされています。平成28年熊本地震、平成30年北海道胆振東部地震や各地で発生した土砂災害等の後においても、また、2024年1月に発生した能登半島地震後においても、特に、災害救助法に基づく外部からの支援を要する数カ月の対応については、東日本大震災当時とは格段に円滑な救援連携が取られるようになりました。一方で、現在のところ、DPAT先遣隊員やDPAT隊員への登録という形でDPAT体制に直接関わっている精神保健従事者はまだ極一部に過ぎないのが現状で、今後、より大人数での長期に渡る外部支援が必要な激甚災害が発生することを想定すると、より多くの当学会員に災害発生時の精神保健対応への参画を進めておいて頂くことが望まれます。また、災害救助法による都道府県外からの救援が終了した後、被災地域には長期に渡る精神保健福祉領域の課題が残され、各地域の従事者がこれに当たる必要がありますが、このような各被災地域での長期の取り組みの体制については、まだかなり改善の余地があると思われます。できれば、災害が起こる前の平常時のうちに、各医療圏の行政と精神医療保健従事者との間で、災害が発生した場合、災害後長期の精神保健活動をどのような体制でどう進めるかを検討し、その検討内容を関係者で広く共有し、各々が備えをしておくことができていることが望まれます。来るべき災害に備えるためには、一部の災害の専門家が災害に備えるのではなく、幅広く精神医療保健従事者が災害のことを知り、備えることが必要であり、そのためには精神医療保健従事者全体、さらには精神科専門医プログラムを履修する研修医、医学生の頃から、災害精神医学に関心を持ち、知識を有して頂くことが望まれます。本シンポジウムでは、各医療圏で行われているDPAT研修、医学生教育、研修医プログラム、多職種連携の研修の中で、災害精神医学教育の実践の事例を提示し、災害精神医学の裾野を広げるために、各地域で、また、学会全体でどのような取り組みが可能かの検討を行うことを目指す。

[SY52-1]各都道府県のDPAT研修の運営・工夫による一般の精神医療保健従事者への教育と影響

高橋 晶1,2 (1.筑波大学医学医療系災害・地域精神医学, 2.茨城県立こころの医療センター)

[SY52-2]災害精神医療における、理念を共有する人材育成の取り組み

大重 耕三 (地方独立行政法人岡山県精神科医療センター)

[SY52-3]いかに、精神科医だけでなく広く医学生・学生に災害精神医学を学んでいただくか

國井 泰人1, 濱家 由美子1, 日野 瑞城1, 富田 博秋2 (1.東北大学災害科学国際研究所災害精神医学分野, 2.東北大学大学院医学系研究科精神神経学分野)

[SY52-4]災害精神医学教育と多職種連携

高尾 碧1,2 (1.島根県立こころの医療センター, 2.厚生労働省委託事業DPAT事務局)

[SY52-5]熊本地震からの学び、女性精神科医の立場から

安川 節子 (熊本ファミリーメンタルクリニック)