セッション詳細

[SY65]シンポジウム65_患者の健康的な側面や強み,可能性を引き出す新たな精神科医療― 心的外傷後成長(PTG)の促進を目指して

2025年6月20日(金) 10:45 〜 12:45
D会場(神戸国際会議場 4階 401会議室)
司会:金井 玉奈(富士リハビリ病院)、小口 芳世(聖マリアンナ医科大学神経精神科学教室)
メインコーディネーター:金井 玉奈(富士リハビリ病院)
サブコーディネーター:小口 芳世(聖マリアンナ医科大学神経精神科学教室)
精神疾患の診断を受けた患者と向き合う中で、彼らの持つ健康的な側面や潜在的な可能性、そして強さに驚かされることが少なくない。従来の精神科医療は、主に精神症状や認知機能障害など、患者の問題点に焦点を当て、発病前の状態に回復することを目指してきた。しかし、それだけでは限界があると感じる場面も多く見受けられる。
患者の健康的な側面や強み、可能性に注目した医療を提供することで、患者にポジティブな視点をもたらし、医療者自身にとっても大きなやりがいを生むことが期待される。では、どのようにしてこうしたアプローチを実現できるのだろうか。
精神疾患を抱える多くの患者は、自分がやりたいことをできなくなることへの不安や、大切なものを失うという大きな精神的打撃を経験する。しかし、これらの患者には「心的外傷後成長(PTG)」として知られる、逆境を乗り越えた結果、それがなければ得られなかったようなポジティブな精神的成長を遂げる潜在力があることがわかっている。さらに、適切な治療やサポート、カウンセリングを通じて、PTGの促進が可能であることも報告されている。
本シンポジウムでは、精神科医療スタッフが患者のPTGを最大限に引き出すために展開すべき具体的な治療法や支援方法に焦点を当てる。松原は精神疾患を併存したがん患者、山口と田中は統合失調症患者、金井は双極性障害とうつ病患者、池澤は社会適応に苦しむギフティッドの特徴を有する患者について、それぞれの事例を提示し議論を行う。
また、フロアの皆様との意見交換を通じて、「マイナスからゼロ」への回復を目指す従来の医療を超え、「マイナスをプラス」へ転じる新たな精神科医療の役割を再認識し、精神神経科学のさらなる充実と発展を目指したいと考えている。

[SY65-1]PTGの視点~がん患者のケアを担当するうえで欠かせないこと~

清水 研 (がん研有明病院)

[SY65-2]当事者中心の実践に学ぶ多職種支援の在り方

山口 創生 (国立精神・神経医療研究センター)

[SY65-3]ギフテッド特性に着目する精神科医療の意義

池澤 聰 (国立精神・神経医療研究センター)

[SY65-4]ピアサポーターとの共同創造事業の展開

田中 悟郎 (令和健康科学大学リハビリテーション学部作業療法学科)

[SY65-5]気分障害患者の心的外傷後成長(Posttraumatic Growth;PTG)の促進を目指して

金井 玉奈, 金岡 啓樹, 西村 行徳, 引場 智, 髙橋 伸忠 (富士リハビリ病院)

[指定発言]指定発言

平島 奈津子 (オフィス朔)