セッション詳細
[SY79]シンポジウム79_難しい「発達障害(神経発達症)」の患者をどのように見立てて支援するか:力動精神医学(精神分析)への誘い
2025年6月20日(金) 15:45 〜 17:45
H会場(神戸国際会議場 5階 502会議室)
司会:齊藤 万比古(恩賜財団母子愛育会愛育研究所)、鈴木 智美(精神分析キャビネ/可也病院)
メインコーディネーター:加藤 隆弘(北海道大学大学院医学研究院神経病態学分野精神医学教室)
サブコーディネーター:加茂 聡子(四谷こころのクリニック)
メインコーディネーター:加藤 隆弘(北海道大学大学院医学研究院神経病態学分野精神医学教室)
サブコーディネーター:加茂 聡子(四谷こころのクリニック)
精神科専門医プログラムでは、精神科専門医としての研修目標として、指導医のもとでの精神療法の経験が掲げられており、精神療法について学ぶことを意図したプログラムは、精神科専門医の教育において今後ますます重要になると考えられる。
昨今、「神経発達症(以下「発達障害」と記す)」と診断される患者が子どもだけでなく成人でも急増しており、発達障害をどのように理解し、どのように治療し支援するかといった臨床力の強化は現代の精神科医にとって避けられない。本シンポジウムでは、力動精神医学(精神分析)の観点から、発達障害に関する評価・診断と治療・支援に関して議論する場を提供する。発達を重視する力動精神医学は、親子関係にはじまる発達期の人間関係が心の基盤を作り、こうした基盤を元にして個々人のパーソナリティや症状が形成されるという理論を軸にしている。しかるに、こうした理論に基づく力動的診断・見立てを手掛かりに実践される精神分析(的精神療法)は、いわゆるDSM/ICDによるカテゴリカルな診断や評価に基づくマニュアル化しやすい治療法とは一線を画している。
本シンポジウムは日本精神分析学会(医療問題委員会)で企画した。オープニングでは、長年の力動精神医学に基づく子どもの発達障害の臨床経験をもつ齊藤が、現代の臨床家が画一的で柔軟性の乏しい治療・支援に陥らないための道標を提示する。子どもの発達障害患者に精神分析的臨床を実践している渡部は、精神分析理論から発展したメンタライゼーションを紹介し、メンタライジングによる子どもと親への支援(時間制限式Mentalization-Based Treatment for Children: MBT-C)の実践を提示する。DSM/ICDを活用した一般精神科臨床を実践しつつカテゴリカル診断にとらわれない精神分析的臨床を実践している加藤は、成人の発達障害ライク症例に対する「分ける(わかる)」ための臨床と「分けない(わからない)」精神分析的臨床の意義に言及する。児童精神科医であり発達障害に対するコミュニケーションロボットを活用した支援法開発で世界をリードしている熊崎は、力動精神医学領域ではない発達障害の専門家としての立場から、発達障害臨床における転移・逆転移の取り扱いの難しさとロボット導入の意義について論じる。精神分析家の加茂は、週4回のオーソドックスな精神分析を実践している立場から、上記登壇者の発表を踏まえて現状の課題と未来への展望を討論する。
本シンポジウムは、わが国の精神科医教育の中で精神療法教育をいかに臨床実践に活かすかという課題に加え、精神療法的な理解に立った臨床実践を提示し、より良い患者理解と支援の方法について学び、経験を共有する機会としたい。
昨今、「神経発達症(以下「発達障害」と記す)」と診断される患者が子どもだけでなく成人でも急増しており、発達障害をどのように理解し、どのように治療し支援するかといった臨床力の強化は現代の精神科医にとって避けられない。本シンポジウムでは、力動精神医学(精神分析)の観点から、発達障害に関する評価・診断と治療・支援に関して議論する場を提供する。発達を重視する力動精神医学は、親子関係にはじまる発達期の人間関係が心の基盤を作り、こうした基盤を元にして個々人のパーソナリティや症状が形成されるという理論を軸にしている。しかるに、こうした理論に基づく力動的診断・見立てを手掛かりに実践される精神分析(的精神療法)は、いわゆるDSM/ICDによるカテゴリカルな診断や評価に基づくマニュアル化しやすい治療法とは一線を画している。
本シンポジウムは日本精神分析学会(医療問題委員会)で企画した。オープニングでは、長年の力動精神医学に基づく子どもの発達障害の臨床経験をもつ齊藤が、現代の臨床家が画一的で柔軟性の乏しい治療・支援に陥らないための道標を提示する。子どもの発達障害患者に精神分析的臨床を実践している渡部は、精神分析理論から発展したメンタライゼーションを紹介し、メンタライジングによる子どもと親への支援(時間制限式Mentalization-Based Treatment for Children: MBT-C)の実践を提示する。DSM/ICDを活用した一般精神科臨床を実践しつつカテゴリカル診断にとらわれない精神分析的臨床を実践している加藤は、成人の発達障害ライク症例に対する「分ける(わかる)」ための臨床と「分けない(わからない)」精神分析的臨床の意義に言及する。児童精神科医であり発達障害に対するコミュニケーションロボットを活用した支援法開発で世界をリードしている熊崎は、力動精神医学領域ではない発達障害の専門家としての立場から、発達障害臨床における転移・逆転移の取り扱いの難しさとロボット導入の意義について論じる。精神分析家の加茂は、週4回のオーソドックスな精神分析を実践している立場から、上記登壇者の発表を踏まえて現状の課題と未来への展望を討論する。
本シンポジウムは、わが国の精神科医教育の中で精神療法教育をいかに臨床実践に活かすかという課題に加え、精神療法的な理解に立った臨床実践を提示し、より良い患者理解と支援の方法について学び、経験を共有する機会としたい。
[SY79-1]精神療法は神経発達症支援の何に寄与できるか
○齊藤 万比古 (恩賜財団母子愛育会愛育研究所)
[SY79-2]メンタライジングによる子どもと親への支援(時間制限式MBT-C)を用いた神経発達症の親子への治療の実際
○渡部 京太 (群馬病院)
[SY79-3]成人発達障害症例へのDSM/ICDでの「分ける(わかる)」臨床と「分けない(わからない)」精神分析的臨床
○加藤 隆弘 (北海道大学大学院医学研究院神経病態学分野精神医学教室)
[SY79-4]発達障害臨床におけるロボット導入の意義
○熊崎 博一 (長崎大学医学部精神神経科学教室)
[指定発言]指定発言
○加茂 聡子 (四谷こころのクリニック)