セッション詳細

[PS4]会長企画シンポジウム4_精神療法のエビデンス再考~精神分析、認知行動療法、森田療法、内観療法の立場から~

2026年6月19日(金) 14:05 〜 16:05
G会場(パシフィコ横浜ノース 3F G301+G302)
司会:舘野 歩(東京慈恵会医科大学精神医学講座)、菊地 俊暁(慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室)
メインコーディネーター:舘野 歩(東京慈恵会医科大学精神医学講座)
精神療法には、どのように症状が形成されるか固有の精神病理仮説があり、それに応じた介入方法、治癒像がある。西欧の代表的な精神療法として、精神分析と認知行動療法がある。精神分析は1900年に生まれ、無意識下に抑圧されていた葛藤の意識化を目指している。精神分析の理論を基礎としつつも、頻度や技法を調整し、対人関係や現在の感情に焦点を当てた広範な力動的精神療法は、戦後北米で隆盛を極めた。精神分析は治療者患者関係・転移を扱うことから効果を判定しづらかったきらいがあったが、1997年にはパニック焦点型短期力動的心理療法が出現し、効果も判定しやすいものが出現している。一方1950年代には神経症を誤った学習として捉え介入は曝露反応妨害法で直接症状軽減を目指す行動療法、1960年代には認知のゆがみがうつ病を発症させるという精神病理仮説に基づき自動思考やスキーマを修正する認知療法が生まれた。1995年頃には両者とも同じ学習理論であることから認知行動療法(以下CBT)と統合された。CBTは短期の治療期間であり、症状の軽減といい明確な治療目標、認知のゆがみを修正するという万国共通の精神病理仮説で、効果判定がしやすく、グローバルな治療として発展した。また、東洋の精神療法として森田療法と内観療法がある。森田療法とは1919年に生まれた神経症性障害に対する精神療法である。症状を不問として入院中の作業に没頭する体験を通して「あるがまま」を目指す。高良武久が入院森田療法の治療効果を記したが、今日のEBM基準に達しているとは言いがたい。現在森田療法はもっぱら外来で行われていて、2009年に外来森田療法のガイドラインが完成した。内観療法は「身調べ」という浄土真宗の修行法から宗教的な色合いを取り除いて作られた身近な対人関係を見直す精神療法で、1960年代から医療現場で使われるようになった。内観者は近親者に対して「お世話になったこと」、「して返したこと」、「ご迷惑をかけた こと」の 3項目を年代区分ごとに具体的にくり返し回想する。内観療法は入院形式をとる約 7日間の集中内観と外来通院で行う分散内観に大別される。様々な精神療法がある中で、共通要因としてLambertが①クライエント要因・治療外の出来事、②治療関係、③期待・プラセボ効果、及び④治療技法・モデル要因を挙げ、④は最も少なく②が最重要と主張した。また、個々の精神療法の適応には特異性があるため、薬物療法と同じくランダム化統制試験やメタアナリシスの対象とすることの限界も指摘されている。それでもなお各精神療法には固有の精神病理仮説と介入方法、治癒像があり、治療により何が変化したか評価をする必要があると考える。そこで今回は各精神療法の専門家を呼び、その効果判定について述べてもらうことにする。各精神療法の効果判定の差異だけでなく、各精神療法の変化における共通要因についても討論できればと考えている。

[PS4-1]未来の精神分析-エビデンス・コンプレックスを超えて-

加藤 隆弘 (北海道大学大学院医学研究院神経病態学分野精神医学教室)

[PS4-2]精神療法のエビデンス再考~認知行動療法の立場から~

菊地 俊暁 (慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室)

[PS4-3]外来森田療法の治療効果について―ランダム化比較試験による検証に向けた研究の経緯と現状―

久保田 幹子1,2 (1.法政大学大学院人間社会研究科, 2.東京慈恵会医科大学森田療法センター)

[PS4-4]精神療法のエビデンス再考~内観療法の立場から~

堀井 茂男 (公益財団法人慈圭会慈圭病院)

[PS4-S1]指定発言

青木 省三 (公益財団法人慈圭会精神医学研究所)