セッション詳細

[SY17]シンポジウム17_森田療法的アプローチで斬る身体愁訴

2026年6月18日(木) 10:40 〜 12:40
I会場(パシフィコ横浜ノース 3F G316+G317)
司会:舘野 歩(東京慈恵会医科大学精神医学講座)、新村 秀人(大正大学臨床心理学部/慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室)
メインコーディネーター:舘野 歩(東京慈恵会医科大学精神医学講座)
サブコーディネーター:新村 秀人(大正大学臨床心理学部/慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室)
精神科の外来で、身体愁訴を訴える人は多い。また、身体科の外来で、器質的な原因がはっきりせず、遷延する身体愁訴(いわゆる不定愁訴)を訴える人も多いであろう。身体(不定)愁訴は、器質疾患の鑑別が困難で、遷延することも多いため、多くの精神科医も身体科医も苦手意識をもつ のではないだろうか。身体愁訴に対する精神療法のニーズは、精神科においても身体科においても、極めて高いと思われる。
 森田療法の元々の適応の一つである「 普通神経質 」は、身体症状症に近い病態である。森田療法は、思考の悪循環を離れ、身体感覚に注目し、生活を整えていくことを目指すため、身体愁訴を扱うことを得意とする。現在のさまざまな臨床の場において、外来森田療法や新しいアプローチが身体愁訴をどのように 扱っているのかを紹介する。
 半田は、大学病院で多数の合併症・リエゾン診療を行う 経験から「身体症状症に対する森田療法の適応」について論じる。身体症状症 は、症状への「とらわれ」が強い病態であり、 「とらわれ」 の打破を目標とする森田療法に合致しやすい。ただ、身体科から精神科へ依頼において 、患者は受診 をある程度受け入れ ている場合もあれば、不本意ながら 受診する場合 も多い。さまざま な状態で受診する身体症状症に対し、 いかに森田療法へ導入するかを紹介する。
 こうした 、患者を著しく苦悩させるにも関 わらず、その状態を十分に説明し得る器質的・ 生理学的 異常を見出すことのできない身体症状は、 Medically Unexplained Symptom ( MUS) としてまとめられ る。田所は、 MUSを精神科外来で1回10分×10回 の超短時間で効果的に治療するために開発した、パッケージ化・マニュアル化した 「MUSに対する10分間外来森田療法」 を紹介する。これ は、森田療法の治療原理を効果的に適用することで、神経症状を含むあらゆる身体症状をめぐる「はからい」と「とらわれ」の悪循環 から患者を解放し、不定愁訴があっても 望む生活が送れるようにする精神療法である。
 DSM-5-TRでは、身体症状症 において「 疼痛が主症状 」という特定用語 がある。疼痛の場合は症状への「とらわれ」が乏しく、精神科医は扱いに困ることが多い。平林は、精神科とペインクリニックの二つの軸足をもつ医師として、 「難治性疼痛に対する森田療法的アプローチ」について論じる。
 精神科だけでなく、大学病院の痛み診療センターおよび総合診療科、総合病院の内科外来での診療を続け る眞島は、新しい精神療法、疼痛再処理療法(PRT:Pain Reprocessing Therapy ) を紹介する。PRTは、慢性疼痛に対して著明な鎮痛効果・持続効果を示したランダム化比較試験 が報告されており、今後、身体症状症およびMUS全般においても標準的な治療選択肢となる と 予想される。主に身体症状への姿勢を扱う森田療法と、主に身体症状の発生を扱うPRTを比較しながら論じる。
 当日は様々な身体愁訴の病態に対する森田療法の活かし方、そしてPRTとの併用などについて討論する予定である。

[SY17-1]身体症状症に対する森田療法の適応

半田 航平1,2 (1.東京慈恵会医科大学西部医療センター, 2.東京慈恵会医科大学精神医学講座)

[SY17-2]「Medically Unexplained Symptomsのための10分間外来森田療法」の開発と実践

田所 重紀 (札幌医科大学精神医学講座)

[SY17-3]鎮痛から〈生き方の回復〉へ:森田療法による難治性疼痛支援と文化精神医学的補助視点

平林 万紀彦 (Healオンラインカウンセリング)

[SY17-4]身体愁訴の発生に挑む森田療法と疼痛再処理療法(PRT:Pain Reprocessing Therapy)

眞島 裕樹1,2 (1.慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室, 2.慶應義塾大学マインドフルネス&ストレス研究センター)