セッション詳細

[WS6]ワークショップ6_そこが知りたい!刑事精神鑑定3

2026年6月19日(金) 8:40 〜 10:20
H会場(パシフィコ横浜ノース 3F G314+G315)
司会:高信 径介(北海道大学病院附属司法精神医療センター)、永田 貴子(横浜市こころの健康相談センター)
メインコーディネーター:高信 径介(北海道大学病院附属司法精神医療センター)
サブコーディネーター:中岡 健太郎(愛知県精神医療センター)
司法精神医学研修委員会
刑事精神鑑定(以下、鑑定)は、かつては限られた一部の精神科医が実施していたが、裁判員裁判制度が開始された2009年以降、鑑定件数が激増し、鑑定医の養成が急務となっている。一方で、鑑定には日常臨床では経験しないプロセスが含まれ、捜査資料(一件記録)の活用法、被鑑定人との面接の進め方、鑑定書の書き方、診断や精神障害が犯行に及ぼす影響の説明の仕方、法廷で証言する際の心構えや鑑定結果の提示方法など、独自の専門的知識や技能が求められる。
司法精神医学研修委員会では、これまで鑑定に関する研修会を定期的に開催し、学術総会でもシンポジウムやワークショップを通じて、鑑定医の養成と技能向上に努めてきた。もっとも、鑑定医を志す者の多くは、都市部等の一部の環境を除き、鑑定経験の豊富な指導者から直接指導を受ける機会に恵まれているとはいえない。そして、座学や講習による学習を通して得た知識を頼りに、自己流で試行錯誤せざるを得ない。このような状況においては、「現場の知恵」や「鑑定医としての作法」等の実践知を習得できず、実務家の養成過程として不足があるといわざるを得ない。ひいては「質」を備えた鑑定医の「量」を確保できず、誤った鑑定に基づく法的判断の誘発や、制度全体の劣化が懸念される。
こうした状況を踏まえ、昨年および一昨年の学術総会では、実務的観点を重視し、「教科書などでは得られない鑑定のコツ」を伝えることを主眼としたワークショップを実施した。登壇した初学者・中堅・ベテランの鑑定医の視点を交えて鑑定のプロセスを概観し、その後に長時間の質疑応答を受け付けるというユニークな構成で行ったところ、フロアを交えたディスカッションは大いに盛り上がりを見せた。フロアからの質疑の中で、経験の有無にかかわらず、多くの鑑定医が地域事情や事例の個別性に根差した疑問を解消できず、不安を抱えたまま鑑定業務に取りかからざるを得ない現状が明らかになった。
このようなワークショップの意義を考慮し、同形式での定期開催が必要であると判断し、従前の形式を踏襲したワークショップを企画する。新たなベテラン鑑定医を迎え、過去の回の反響を踏まえ内容をアップデートして行う。具体的には、模擬鑑定事例のプレゼンター1名(安東)、若手鑑定医(質問者)1名(杉本)、教官役として3名のベテラン鑑定医(来住、賀古、安藤)が登壇する。前半は、架空事例に基づき、プレゼンターが鑑定受託から資料の読み込み、被鑑定人との面接、鑑定書の提示、法廷での尋問に至る一連の流れを説明し、その節目ごとに質問者が、特に初学者が抱きやすい疑問を提示する。これに対し、ベテラン鑑定医は、鑑定時に心がけている工夫や実践的な「コツ」を伝授する。後半は、前半の模擬事例を叩き台にして、フロアからの質問を受け付け、全体で鑑定手法に関する理解を深める。双方向性を重視し、世代や地域を超えて知を伝達することで、初学者からベテランまで、鑑定に関心を持つ会員のスキルアップの場となることを期待している。

[WS6-1]そこが知りたい!刑事精神鑑定3

安東 一樹 (東日本成人矯正医療センター)

[WS6-2]そこが知りたい!刑事精神鑑定3

杉本 裕子 (岡崎医療刑務所)

[WS6-3]そこが知りたい!刑事精神鑑定3

來住 由樹 (地方独立行政法人岡山県精神科医療センター)

[WS6-4]そこが知りたい!刑事精神鑑定3

賀古 勇輝 (北海道大学病院附属司法精神医療センター)

[WS6-5]そこが知りたい!刑事精神鑑定3

安藤 久美子 (東京科学大学)