セッション詳細

[WS13]ワークショップ13_医療保護入院制度をめぐる課題:現場の実践から制度のこれからを考える

2026年6月20日(土) 14:15 〜 15:55
H会場(パシフィコ横浜ノース 3F G314+G315)
司会:太田 順一郎(岡山市こころの健康センター)、藤井 千代(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所地域精神保健・法制度研究部)
メインコーディネーター:太田 順一郎(岡山市こころの健康センター)
サブコーディネーター:藤井 千代(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所地域精神保健・法制度研究部)
精神保健福祉法委員会
【オンデマンド配信対象外】
精神保健福祉法委員会では、長年にわたり非自発的入院制度の在り方について議論し、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下、同法)改正に関する数々の提言を行ってきた。令和4年9 月28日にも、同年度の同法改正に先立ち、改正に向けての見解を発表した(以下、学会見解)。令和4年12月に改正された精神保健福祉法では、医療保護入院に期限を設け、家族等同意の要件の一部見直しなどが実施されたものの、依然として多くの課題が積み残されたままとなっている。障害者の権利に関する条約(Convention on the Rights of Persons with Disabilities:以下、CRPD)は、平成 26 年 1 月に日本政府によって批准された。令和4年8月の対面審査を経て、障害者の権利に関する委員会から、第1回政府報告に関する政府への総括所見が示された。この中では、障害を理由とする非自発的入院や強制的な治療を合法化している法律の廃止、精神科病院での期限の定めのない入院の中止、そして医療モデルではなく、人権モデルに基づき障害の差別なく地域で生活ができるよう脱施設化の推進などが勧告された。しかし、令和 4 年度法改正にこの総括所見の内容を十分に議論し反映させるには時間が短く、今後の課題として附則および同法への附帯決議として記載されるに留まった。本ワークショップでは、総括所見における指摘を踏まえつつ、精神科医療現場における非自発的入院制度、特に医療保護入院の運用について架空の事例を通じて議論し、現行の医療保護入院の役割と、この入院形態に内在する課題について理解を深めることとする。非自発的入院について、その理念に関する議論にとどまることなく、我々が日々直面するジレンマを法制度の観点から追体験することで、現行制度の構造的課題を可視化し、今後の制度改正の方向性を実践的な視点から考察する場としたい。ワークショップでは、医療保護入院に関わる複数の臨床事例を提示する。事例検討を通じて、入院決定に至る判断の根拠、家族等または市町村長からの同意を得る手続き、入院後の治療継続と権利擁護のあり方といった一連の入院プロセスにおいて、現行法の枠組みのどこに不整合や権利侵害のリスクが潜んでいるか、医療保護入院という入院形態が存在しないと仮定した場合にどのような対応が考えられるか等につき、グループに分かれて議論する。主な論点としては、「家族等同意の意義と限界」(家族等が同意することの法的・倫理的意義、家族等同意に内在する権利侵害リスク等)、「制度一本化の是非」(医療保護入院を維持すべきか、または非自発的入院を公的責任の下に一本化すべきか等)などが想定される。参加者は、事例検討を通じて現行の医療保護入院制度を維持する場合と制度を改める場合それぞれの利点と課題を比較し、今後の制度設計に向けた論点を臨床・法制度の両面から多角的に検討する。ここで留意したいのは、本人の同意が得られない処遇や治療という課題は、精神科医療に限定されたものではなく、身体救急医療を含む一般医療、さらには福祉全般に亘る普遍的課題であるという視点である。この課題を精神科の枠内だけで議論し、規定してきたこと自体が「特殊扱い」を助長してきたという見方もできる。CRPDでは、障害を理由とする非自発的入院や強制的な治療を合法化している法律の廃止が求められている。このことに鑑み、本人の同意が得られない場合の入院や治療提供における適正手続きのあり方を、精神疾患と身体疾患で区別することの合理性につき検討する必要があると考えられる。グループワークでは精神科医療と一般医療における適正手続きの在り方の違いについても念頭に置き議論していただきたい。本ワークショップは、結論を導き出すことを目的としない。臨床現場の実践を踏まえて「どのような制度であれば患者の権利を守りつつ、現実に機能するのか」を考える対話の場とし、学会見解の提示する課題を、臨床現場の視点からより具体的に掘り下げる契機としたい。

[WS13-1]医療保護入院制度をめぐる課題:現場の実践から制度のこれからを考える

太田 順一郎 (岡山市こころの健康センター)

[WS13-2]医療保護入院制度をめぐる課題:現場の実践から制度のこれからを考える

中島 直 (医療法人社団新新会多摩あおば病院)

[WS13-3]医療保護入院制度をめぐる課題:現場の実践から制度のこれからを考える

藤井 千代 (国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所地域精神保健・法制度研究部)

[WS13-4]医療保護入院制度をめぐる課題:現場の実践から制度のこれからを考える

小林 慧 (東京大学大学院医学系研究科臨床神経精神医学教室)