講演情報

[O15-01]頼れる人の数と主観的well-beingの関連性:生成AIによる効果修飾

*小野 敬済1,2、二瓶 美里1 (1. 東京大学 大学院情報理工学系研究科、2. 日本学術振興会特別研究員 PD)
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キーワード:

主観的well-being、Multi-dependence、生成AI

【はじめに、目的】 我々は「他者を頼ってはいけない」という規範の克服に向けて、人が他者に依存することを前提とした自律性概念に基づく支援方策の構築を目指している。このような概念化において「頼れる人の数」は主観的well-being(SWB)と関連する重要な要因であり、その関連の程度は障害者と家族介護者において特に強いことが2024年から2025年初頭に実施した先行研究から示唆されている。他方、ここ数年の生成AIの急速な発展と普及により、人が他者を頼る行動の意味や価値が変化している可能性がある。本研究の目的は、頼れる人の数とSWBの関連性に対して、生成AIを精神的支援として利用することがどのような効果修飾をもたらすかを検証することである。

【方法】 インターネット調査会社登録者を対象にスクリーニング調査および本調査を実施し、最終的に4521名を解析対象とした。対象者は非障害・非家族介護者、障害者、家族介護者、障害かつ家族介護者の4群に分類した。頼れる人の数は我々が開発した独自の尺度であるSocial Multi-dependence Scale(SMDS)により測定した。生成AIの精神的支援としての利用はその是非及び頻度から5水準で評価した。階層ベイズモデルを用いて、各群におけるSMDSとSWBの関連性指標および生成AIによる効果修飾の程度を各群において推定した。事前分布には弱情報正規分布を設定した。 欠損割合が10.0%であることや、効果修飾項を含む階層モデルにおいて多重代入時のモデル依存性が大きくなる可能性を考慮して欠損補完は見送り、完全データでの解析を主解析とした。

【結果】 いずれの群においても、頼れる人の数はSWBと正の関連を示したが、その関連の強さは群および生成AI利用状況により異なっていた。特に家族介護者では、生成AIを精神的支援として頻回に利用している者において、頼れる人の数とSWBの関連が弱く、推定の不確実性も大きかった。また、障害者および家族介護者では、過去の研究と比較して関連の推定値が小さい傾向が見られた。 全てのパラメータでRhatが1.10を下回っており、 divergent transitionも発生しなかった。

【考察】 生成AIの利用は、特に家族介護者において、他者を頼ることとSWBとの関連を弱めている可能性が示唆された。現在の生成AI利用は、介護者が他者を頼ることの心理的意味づけと関連している可能性がある。一方で、生成AIによる効果修飾の推定には不確実性も大きかった。今後は精緻な定量分析と質的研究を組み合わせ、生成AI時代における「頼ること」の意義をより深く検討する必要がある。

【結論】 頼れる人の数は依然としてSWBと関連する重要な要因であるが、生成AIの普及によりその関連性は変化しつつある可能性がある。

【倫理的配慮】 本研究は筆頭演者が所属する施設の研究倫理審査委員会にて承認を受けた。本研究はヘルシンキ宣言に沿って実施し、全ての研究参加者から書面によるインフォームドコンセントを得た。

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