講演情報
[P14-03]多職種連携にて歩行補助具を検討し屋内移動が安全になった事例
*岩瀨 拓1,2、柿並 知志1、水谷 広奈1、佐藤 翼1、加賀谷 斉1 (1. 国立長寿医療研究センター リハビリテーション科部、2. 大府市福祉用具ケア研修会)
キーワード:
多職種連携、訪問リハビリテーション、福祉用具
【はじめに】介護保険被保険者の多くは福祉用具貸与サービスを利用している.貸与品の利用実績は歩行補助具が多くを占める.歩行補助具は能力障害に応じて検討するべきであるも現場感覚では,検討される機会が少ないと感じる.さらに歩行補助具の検討において,理学療法士の提案のみで決定しているケースが多く,利用者を囲むサービス提供者で多職種による検討が行われることが少ない.そこで今回,多職種連携により歩行補助具を検討した事例を紹介する.【事例紹介】訪問リハビリテーション(リハ)開始時時点での年齢は85歳であり,身長165.8㎝,体重66.1㎏,Body Mass Index:24.0kg/m2の女性であった.要介護度認定は要介護1,Functional Independence Measure(FIM)は運動機能44点(移動:2点), 認知機能26点であった.【経過】本事例は,自宅の台所にて転倒し左肋骨骨折を受傷し入院となった.1か月後,歩行補助具の貸与を予定し退院となった.2か月後,家族希望で訪問リハを開始した.訪問リハ開始時より1か月後,トイレまでの移動を獲得しFIM6点となった.訪問リハ開始時より2か月後,通所介護利用時の入浴中に転倒し左上腕骨骨折を受傷し入院となった.訪問リハ開始時より3か月後,軽量で小回りが利くテイコブリトルスリム(株式会社幸和製作所)を貸与し退院となった.訪問リハ開始時より4か月後,歩行動作の観察を行い,歩行時の推進力低下を問題点と捉え,操作性が高く推進力の維持が可能な歩行補助具の検討が必要であると考え,家族と相談したことで円背が気になり前で支えられる物がいいと希望が聴取できた.相談内容をケアマネジャーへ相談し,福祉用具専門相談員と連携を図り,福祉用具専門相談員により前腕支持台タイプのシトレア(株式会社幸和製作所)と前腕支持台と左右ハンドル搭載を搭載した2WAY方式のラビット(株式会社ウェルパートナーズ)の情報提供があった.その後,多職種による貸与品での歩行観察の結果,肩関節屈曲位での支持が困難であること,手掌把握によるグリップ操作では,左右非対称な操作となっていることをサポートできるラビットへ変更することとなった.ラビットへ変更後,前腕支持となり支持面が拡大し上肢荷重が安定し,適度な体幹前傾位で推進力を獲得した.さらに体幹と前腕の操作で方向転換が容易となり,利用者と歩行車の距離が近くなることで操作性が高まり,安全な移動動作の獲得へと至った.【考察】理学療法士の歩行動作の観察,利用者家族のニーズ,ケアマネジャーによる点数計算や福祉用具専門相談員との連携,福祉用具専門相談員による複数の歩行補助具の提案等の利用者家族を含む多職種連携により歩行車補助具の変更が決定した.このようなプロセスを踏むことで事例の安全な生活が再獲得できたと考えた.【倫理的配慮・説明と同意】ヘルシンキ宣言に基づき、対象者に口頭で趣旨を説明し発表の同意を得た.
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