講演情報

[O16-01]地域在住高齢者における握力左右差とサルコペニアおよび身体機能低下の関連要因:横断研究

*松田 憲亮1、池田 拓郎2 (1. 国際医療福祉大学福岡保健医療学部理学療法学科、2. 福岡国際医療福祉大学医療学部理学療法学科)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

握力左右差、サルコペニア、地域在住高齢者

①調査や研究的な内容の場合
【はじめに、目的】サルコペニアは加齢に伴う筋量・筋力低下を特徴とする老年症候群である。近年、握力左右差(muscle strength asymmetry:MSA)が身体機能低下と関連する可能性が報告されているが、地域在住高齢者におけるサルコペニアとの関連は十分明らかでない。握力左右差がサルコペニアのリスク指標として有用であれば、既存の握力測定から追加負担なく評価できる可能性がある。本研究の目的は、地域在住高齢者における握力左右差とサルコペニアとの関連を検討することである。【方法】地域在住65歳以上高齢者を対象とした体力測定事業のデータを用いた横断研究とした。神経疾患を有する者および認知機能低下の者を除外し、214名を解析対象とした。握力はデジタル握力計を用いて左右それぞれ測定し、最大値を採用した。握力左右差は強い側と弱い側の比で算出し、既報に基づき1.10以上をMSAと定義した。身体機能としてTimed Up and Go test(TUG)およびFive-times sit-to-stand test(FTSST)を測定し、四肢骨格筋量指数(SMI)を算出した。サルコペニアはAWGS2019の基準に基づき判定した。MSAの有無による群間比較を行い、さらに年齢、性別、Body Mass Index(BMI)を調整したロジスティック回帰分析によりサルコペニアとの関連を検討、モデルの識別能はROC曲線のAUCで評価した。【結果】MSAの有病率は41.6%(89/214)であった。サルコペニアの有病率はMSA群で44.9%、非MSA群で15.2%であった。多変量ロジスティック回帰分析の結果、握力左右差はサルコペニアと独立して関連していた(OR=3.48、95%CI:1.69–7.17)。年齢・性別・BMIによるモデルのAUCは0.80、MSAを加えたモデルのAUCは0.83に向上した。MSA群では年齢が有意に高く、TUGが有意に低値であった。一方、性別およびBMIに有意差はなく、SMIはMSA群で有意に低値であった。【考察】握力左右差は身体機能低下と関連していた。TUGのみ低値であったことから、筋力低下だけでなく移動・動的バランス能力を反映している可能性がある。また、追加モデルでAUCが向上したことから、MSA評価はサルコペニア評価に有用である可能性が示された。一方、本研究は横断研究であり因果関係は明らかでない。【結論】地域在住高齢者において、握力左右差はサルコペニアと独立して関連していた。握力測定時に左右差を併せて評価することは、地域におけるサルコペニアの早期発見に有用である可能性が示唆された。【倫理的配慮、説明と同意】本研究は所属機関の倫理審査委員会の承認(25-KS-043)を得て実施した。研究情報を公開し、オプトアウトによる拒否機会を保障した。

コメント

コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン