講演情報

[P14-04]家族支援により役割の再獲得と社会参加へ繋がった認知症高齢者の一事例-認知症地域支援推進員の活動紹介-

*神保 良平1,2、滝澤 かつみ2、藤田 貴昭3 (1. 北福島医療センター リハビリテーション科、2. 伊達市保原地域包括支援センター、3. 福島県立医科大学 保健科学部 作業療法学科)
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キーワード:

認知症、間接支援、認知症地域支援推進員

【はじめに】
認知症に対する理解の普及と多職種・地域の連携は依然として我が国の課題である。認知症地域支援推進員(推進員)は、地域包括支援センター等に配置され、各市町村が進めている認知症施策の推進や、地域における認知症の人の医療・介護等の支援ネットワーク構築など、地域の特徴や課題に応じた活動を展開している。認知症の人への効果的なリハビリテーションを進める上で、理学療法士が社会資源の一つとなる推進員について深く理解していることは重要と考えられるが、その具体的活動内容や活用法に関して広く知られていない。今回、家族支援により、家庭内役割の再獲得と社会参加へ繋がった認知症高齢者の事例を通して推進員の活動の一部を紹介する。
【事例紹介】
事例はアルツハイマー型認知症の診断を受けた80歳代前半の女性。認知機能は改訂長谷川式簡易知能評価スケールで14/30点、要介護度は要介護1と認定されていた。夫との2人暮らしで、子供は2人おり遠方に住んでいた。家庭内役割は専業主婦で、性格は社交的であった。夫は元公務員で単身赴任の経験があり家事は可能であった。認知症の行動・心理症状(BPSD)として、頻回に外出しようとすることと、調理の過程で作業内容を忘れてしまう(鍋を火にかけたままなど)ことが見受けられた。それに対し夫は、玄関の鍵を追加すること、調理は自身が行うことで対応していた。事例の困り事は、買い物に行くことができないことと、料理をしようとすると夫に怒られることであった。夫の困り事は、妻が外出しようとしたり、調理を行おうとすることであった。また夫には苛立ちや疲労感、困惑が見受けられ、現在の妻の姿を近隣住民には見せられないと感じ、デイサービスも拒否していた。
【活動内容と結果】 
担当ケアマネジャーから相談を受け、推進員である演者が自宅を訪問し話を伺った。その上で、夫に対してBPSDやその対応に関して知識を教示し、事例ができることや夫が支援可能なことを整理した。結果、調理は事例と共同で行うようになり、食材を切ることや味付けなど調理の一部は事例が担当した。買い物の希望があれば、夫が同伴することや散歩を行うようにした。また夫に認知症の人の家族会を紹介し参加した結果、気持ちのゆとりが生まれ、私見が広がり、デイサービスの利用を検討することとなった。さらに、近隣住民に状況を説明し、有事の協力を仰いだところ、高齢者サロンへ誘ってもらい同伴してくれることになった。
【結論】
今回、推進員が家族へ間接支援を行ったことで、事例の家庭内役割の再獲得と社会参加を促すことができた。理学療法士は推進員との連携を考慮することで、認知症の人に効果的なリハビリテーションを実践することができ、住み慣れた地域で自分らしく生活を継続するための一助となる可能性がある。
【説明と同意】
本事例と家族に本報告の趣旨を口頭で説明し、書面にて同意を得た。

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