講演情報

[S1-01]地域高齢者のアートエンゲージメントとウェルビーイング:2年間の縦断研究

*野口 泰司1,2、尚 爾華3、林 尊弘4 (1. 浜松医科大学医学部健康社会医学講座、2. 国立長寿医療研究センター研究所老年社会科学研究部、3. 愛知東邦大学人間健康学部、4. 愛知医療大学リハビリテーション学部)
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キーワード:

ウェルビーイング、Arts & Health、PERMA

【目的】芸術・文化との関わりは欧州ではアートエンゲージメントと呼ばれ、人々のウェルビーイングに貢献する証拠が蓄積している。しかし、日本を含めたアジアにおける縦断研究は限られる。本研究は、地域高齢者を対象にアートエンゲージメントとウェルビーイングの関連を2年間の縦断研究により検討した。
【方法】地域の公民館利用者から60歳以上の高齢者をリクルートし、2年後に郵送追跡調査を行った。ウェルビーイングはセリグマンのPERMAモデルに基づき5領域(ポジティブ感情、没頭、関係性、人生の意味、達成)を評価した。アートエンゲージメントはアクティブ(演奏や絵画など自らが行う能動的活動)とレセプティブ(美術館や博物館訪問などの受領的活動)の2形態の頻度を評価した。目的変数を2年後のPERMAスコア、説明変数をベースライン時のアートエンゲージメント、調整変数を基本属性、社会経済要因、健康状態、ベースライン時のPERMAスコアとした線形回帰分析を行った。アートエンゲージメントの頻度とPERMAスコアの関係を制限付き3次スプライン曲線により可視化した。欠損値はランダムフォレストにより補完し、脱落は逆確率重み付けにより補正した。
【結果】最終的に354名が分析対象となり(追跡率67.8%;平均74.0歳;女性78.6%)、そのうち75.0%はアクティブエンゲージメントを、76.7%はレセプティブエンゲージメントを行っていた。月1回以上のアクティブエンゲージメントは2年後のPERMAの全領域と正の関連を示し(coef.=0.60-0.78)、レセプティブエンゲージメントはポジティブ感情、人生の意味、達成の領域と正の関連を示したが(coef.=0.44-0.57)、没頭と関係性との関連は認められなかった。スプライン曲線では、アクティブエンゲージメントは用量反応性を示したが、月に複数回で上昇が頭打ちとなり、レセプティブエンゲージメントは年に複数回程度まで用量反応性を示したが、その後横ばいとなる傾向を示した。サブグループ解析では、75歳以上、社会経済状況が低い者にてより顕著な関連が認められた。
【考察】アートエンゲージメントは高齢者の多面的ウェルビーイングを支援する地域資源となる可能性があり、高齢期の社会参加と地域生活を支える方策として芸術・文化へのアクセスと参加機会の確保が重要である。
【結論】地域高齢者においてアートエンゲージメントは2年後のウェルビーイングの多側面と関連した。
【倫理的配慮、説明と同意】本研究は筆頭演者の所属機関の研究倫理審査委員会にて承認を受けた。研究説明は口頭または文書により行い、研究参加の同意を書面により得た。本研究はヘルシンキ宣言に沿って実施した。

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