講演情報
[O1-02]生活課題解決を起点としたShared Decision Makingにより生活参加を2年間維持した在宅パーキンソン病の一症例
*梅本 雄太1、中谷 知生1、田口 潤智2 (1. 宝塚リハビリテーション病院 療法部、2. 宝塚リハビリテーション病院 診療部)
キーワード:
パーキンソン病、Shared Decision Making、生活参加
【はじめに、目的】地域在住パーキンソン病(以下、PD)では運動機能が維持されても外出不安や自信低下により、生活参加が制限されることがある。Shared Decision Making(以下、SDM)は自己効力感や行動変容を促すが、生活課題起点のSDMの長期維持報告は限定的である。本症例では SDM 導入により徒歩通院の獲得と2年間維持の過程を検討した。
【症例紹介、評価結果と問題点】80歳代男性で、妻と同居。週1回60分の訪問リハビリテーションを1年利用している。Hoehn-Yahr 分類Ⅲ期、Movement Disorder Society-Unified Parkinson's Disease Rating Scale PartⅢ28 点であった。薬物療法継続中で、on時自立歩行可能だが、夕方に約1時間offで動作緩慢が増悪した。すくみ足と姿勢反射障害で単独での外出に自信を喪失し、通院はタクシー依存であった。生活課題は坂路(勾配5〜8度、約130m)を含む徒歩移動等であった。初期は行動変容ステージ(以下、TTM)関心期、Life-Space Assessment(以下、LSA)40点、Activities-specific Balance Confidence Scale(以下、ABC)36.25%、Frenchay Activities Index(以下、FAI)8点、2Step Test(以下、2Step)0.36、Short Form of the Berg Balance Scale (以下、SFBBS)13点であった。
【介入内容、結果】担当変更後、SDMを導入し「徒歩で通院したい」「妻と外出したい」という価値観を聴取し、複数の移動手段を提示し徒歩通院を目標として妻同席の下、合意形成した。また、具体的な目標設定もGoal Attainment Scaling(以下、GAS)で最大目標+2を「一人で歩いて通院できる」と設定した。介入は坂路を含む屋外での段階的歩行練習や、毎回の生活参加面に関する聞き取り、妻にも普段の声掛け依頼を実施した。Shared Decision Making for Rehabilitationは52/60 点であり、SDMの実施が患者に認識されていた。段階的介入によりLSAは40点から78.5点、ABCは36.25%から66.87%、FAIは8点から27点、2Stepは0.36から0.66、SFBBSは13点から16点へそれぞれ改善した。また、GASでは+2を達成、維持した。途中、蜂窩織炎発症により4ヶ月の自宅療養と2ヶ月の入院を要したが、退院後も徒歩通院、外出は再獲得、維持された。
【考察】SDMを含む多面的介入で生活参加が向上し長期維持に至った。運動療法の内容自体は基本的に維持されたため、内容の変化よりも、SDMにより対象者本人が運動療法を「目標を実現するための手段」として意味づけ直したことが行動変容と維持に関与した可能性がある。さらに、坂路を含む環境課題への実練習を通じて実生活への汎化を促し、SDMが「患者自身が自ら選んだ」認識が自己効力感を高め、行動変容及び定着に寄与した。入院後の再獲得は、行動の習慣化と家族支援を示す。生活課題を起点とするSDMを組み合わせる介入が有効であった可能性が示された。
【倫理的配慮、説明と同意】本研究は、個人情報保護に十分配慮し、研究の趣旨を説明した上で書面にて同意を得た。
【症例紹介、評価結果と問題点】80歳代男性で、妻と同居。週1回60分の訪問リハビリテーションを1年利用している。Hoehn-Yahr 分類Ⅲ期、Movement Disorder Society-Unified Parkinson's Disease Rating Scale PartⅢ28 点であった。薬物療法継続中で、on時自立歩行可能だが、夕方に約1時間offで動作緩慢が増悪した。すくみ足と姿勢反射障害で単独での外出に自信を喪失し、通院はタクシー依存であった。生活課題は坂路(勾配5〜8度、約130m)を含む徒歩移動等であった。初期は行動変容ステージ(以下、TTM)関心期、Life-Space Assessment(以下、LSA)40点、Activities-specific Balance Confidence Scale(以下、ABC)36.25%、Frenchay Activities Index(以下、FAI)8点、2Step Test(以下、2Step)0.36、Short Form of the Berg Balance Scale (以下、SFBBS)13点であった。
【介入内容、結果】担当変更後、SDMを導入し「徒歩で通院したい」「妻と外出したい」という価値観を聴取し、複数の移動手段を提示し徒歩通院を目標として妻同席の下、合意形成した。また、具体的な目標設定もGoal Attainment Scaling(以下、GAS)で最大目標+2を「一人で歩いて通院できる」と設定した。介入は坂路を含む屋外での段階的歩行練習や、毎回の生活参加面に関する聞き取り、妻にも普段の声掛け依頼を実施した。Shared Decision Making for Rehabilitationは52/60 点であり、SDMの実施が患者に認識されていた。段階的介入によりLSAは40点から78.5点、ABCは36.25%から66.87%、FAIは8点から27点、2Stepは0.36から0.66、SFBBSは13点から16点へそれぞれ改善した。また、GASでは+2を達成、維持した。途中、蜂窩織炎発症により4ヶ月の自宅療養と2ヶ月の入院を要したが、退院後も徒歩通院、外出は再獲得、維持された。
【考察】SDMを含む多面的介入で生活参加が向上し長期維持に至った。運動療法の内容自体は基本的に維持されたため、内容の変化よりも、SDMにより対象者本人が運動療法を「目標を実現するための手段」として意味づけ直したことが行動変容と維持に関与した可能性がある。さらに、坂路を含む環境課題への実練習を通じて実生活への汎化を促し、SDMが「患者自身が自ら選んだ」認識が自己効力感を高め、行動変容及び定着に寄与した。入院後の再獲得は、行動の習慣化と家族支援を示す。生活課題を起点とするSDMを組み合わせる介入が有効であった可能性が示された。
【倫理的配慮、説明と同意】本研究は、個人情報保護に十分配慮し、研究の趣旨を説明した上で書面にて同意を得た。
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