講演情報

[O2-03]隣接する居住小学校区間の地域在住高齢者における転倒リスクに関する地域格差と関連要因

*竹島 英祐1、武田 広道1、末政 典秀2、大森 さつき3、野口 雅弘1 (1. 北陸大学 医療保健学部 理学療法学科、2. 金沢市地域包括支援センター ひろおか、3. 金沢市地域包括支援センター きたづか)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

地域在住高齢者、転倒リスク、地域格差

【はじめに、目的】
高齢者の転倒は、身体機能の低下や心理的要因に加え、生活環境、社会資源、社会経済的背景など多面的な要因によって生じる重要な健康課題である。特に地域在住高齢者では、隣接する地域であっても年齢構成、住環境、社会資源、経済状況などが異なる可能性があるが、小地域単位で転倒リスクの分布とその関連要因を検討した報告は限られている。本研究の目的は、隣接する居住小学校区間の地域在住高齢者における転倒リスクおよび関連要因を検討し、転倒リスクと身体的要因、心理的要因、社会経済的要因および生活環境要因との関連を明らかにすることである。
【方法】
本研究は、金沢市地域包括支援センターきたづかが担当する地域在住高齢者(65歳以上)2,500名を対象とした郵送アンケート調査による横断研究である。基本属性(年齢、性別、家族・住居状況、教育歴、経済状況など)、転倒リスク(Fall Risk Index短縮版:FRI)、フレイル(基本チェックリスト:KCL)、孤独感(UCLA Loneliness Scale短縮版:UCLALS)、自己効力感(General Self-Efficacy Scale:GSES)、スマートデバイスの利用状況を調査票にて評価した。統計解析では、まず対象者を居住小学校区別に分類し、評価項目の群間比較を行った。次にFRI高リスク(FRI≧6)の有無を従属変数として、完全ケースを用いた強制投入法によるロジスティック回帰分析を行った。
【結果】
698名(回答率:27.9%)から返送が得られ、居住地域およびFRIの回答に欠損がある者を除外した659名(居住小学校区A:318名、居住小学校区B:341名)を解析対象とした。基本属性では年齢、同居者の有無、戸建て居住、教育歴、年収に居住小学校区間で有意差を認めた。フレイル関連指標および心理指標の多くには有意差を認めなかった。一方で、FRI合計およびFRI高リスク者の割合は居住小学校区Bで有意に高かった。ロジスティック回帰分析では、年齢(OR:1.11, 95% CI:1.07-1.16, p<0.01)と主観的な経済困難感(OR:1.83, 95% CI:1.26-2.67, p<0.01)が転倒リスク高値と有意に関連し、居住小学校区については有意差が認められなかったが関連傾向を示した(OR:1.41, 95% CI:0.98-2.03, p=0.07)。
【結論】
地域在住高齢者の転倒リスクを検討する際には、身体的・心理的要因のみならず、年齢構成や社会経済的背景を含む地域特性を考慮することの必要性が示唆された。
【倫理的配慮、説明と同意】
本研究は、ヘルシンキ宣言を遵守して実施された。なお、本研究は研究開始前に筆頭演者が所属する施設の研究倫理審査委員会にて承認を得た(承認番号2025-11)。

コメント

コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン