講演情報

[O10-03]左室駆出率低下は心疾患患者における陽圧呼吸療法アドヒアランス不良の独立した予測因子である

*瀧野 皓哉1,2、久世 洋嗣2、永井 敬志2、田邉 剛史2、堀 将也2、臼井 拳弥2、亀山 幸花2、中川 正康3 (1. 豊橋創造大学 保健医療学部 理学療法学科、2. 岐阜ハートセンター 心臓リハビリテーション室 、3. 岐阜ハートセンター 循環器内科)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

睡眠時無呼吸症候群、陽圧換気治療、アドヒアランス

【はじめに・目的】睡眠時無呼吸症候群(SAS)は心疾患の発症・増悪に関わる重要な併存疾患であり、陽圧呼吸療法(PAP)は中等症以上のSASに対する標準治療である。PAPは心血管イベント抑制や心機能改善に有効だが、その効果は十分なアドヒアランスを前提とする。しかし心疾患患者のPAPアドヒアランスは一般集団より低く、予測因子の同定が課題である。先行研究では左室駆出率(LVEF)低下とアドヒアランス不良の関連が示唆されるが横断研究に限られ、因果の方向は不明確であった。本研究は心疾患併存SAS患者を対象とした前向きコホートにより、ベースラインのLVEF低下がPAPアドヒアランス不良の独立予測因子となるかを検討した。
【方法】岐阜ハートセンターにて心疾患を有し中等症以上のSASと診断されPAPを新規導入した患者を対象とした。LVEF<50%を低下群、≥50%を保持群とした。1晩4時間以上の使用が月70%以上を「良好」、未満を「不良」、6か月以内の中止を「脱落」と定義した。脱落までの期間をKaplan-Meier法・log-rank検定で比較し、脱落の予測因子をCox回帰、アドヒアランスレベルを順序ロジスティック回帰で解析した(いずれも年齢・BMI・性別・AHIで調整)。
【結果】 対象175例(低下群43例、保持群132例)。低下群は保持群より早期かつ高率に脱落し(log-rank p<0.001)、脱落率(41.9% vs. 18.9%)および良好達成率(23.3% vs. 50.0%)はいずれも低下群で不良であった(χ²検定、p=0.002)。多変量解析でLVEF低下は脱落(HR 0.41、95%CI 0.21–0.80、p=0.008)およびアドヒアランス不良(OR 0.34、95%CI 0.16–0.68、p=0.003)の独立予測因子であった。
【考察】 LVEF低下群で早期脱落が多かった背景として、心拍出量低下に伴う易疲労性・呼吸困難感や、中枢性睡眠時無呼吸の合併によるPAP適応困難が推察される。
【結論】 心疾患併存SAS患者において、ベースラインのLVEF低下はPAPアドヒアランス不良の独立予測因子であった。本集団への支援にはLVEFに基づくリスク層別化が有用である。
【倫理的配慮】 本研究は倫理委員会の承認のもと実施し、全対象者から書面同意を得た。個人情報は倫理指針に従い適切に管理した。

コメント

コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン