講演情報

[O8-04]重症心身障害児の生活空間に影響する要因の検討

*笹原 実直1,2、浅川 育世3、篠崎 真枝3 (1. 茨城県立医療大学付属病院 リハビリテーション部、2. 茨城県立医療大学大学院 保健医療科学研究科、3. 茨城県立医療大学 保健医療学部 理学療法学科)
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キーワード:

生活空間、自己効力感、重症心身障害児

【はじめに、目的】生活空間は活動・参加や生活の質に関わる概念であるが,重症心身障害児を対象とした知見は少ない.重症心身障害児の生活空間は,児の身体機能に加え,医療的ケア,移動手段,支援体制,保育者の判断など多様な影響が考えられる.本研究は,主たる保育者の育児に対する自己効力感(PSE)と児の生活空間との関連,および生活空間に影響する背景要因を量的・質的に検討した.
【方法】研究Ⅰでは,未就学の重症心身障害児と主たる保育者23組を対象にアンケート調査、および聞き取り調査を行った.生活空間は重症心身障害児の実態に合わせて調整したLife-Space Assessment(LSA),PSEは金岡によるPSE尺度で評価した.月齢,GMFCS,医療的ケアの有無,他介護者の有無,生活空間に対する主観的認識(「児の生活空間が広い方がいいと思うか」に対して5件法で評価)等を調査し,相関分析およびMann-Whitney U検定を行った.研究Ⅱでは,研究Ⅰ対象者のうち5名の保育者に半構造化インタビューを行い,逐語録を内容分析した.
【結果】対象児の月齢は47.7±14.2か月,GMFCSレベル4・5が78.3%,医療的ケアありは43.5%であった.研究Ⅰでは,PSEとLSAとの間に有意な相関を認めなかった(r=0.302,p=0.162).一方,PSEと生活空間に対する主観的認識との間には有意な正の相関を認めた(rs=0.569,p<0.01).医療的ケアの有無および他介護者の有無によるPSE,LSAの群間比較では有意差を認めなかった.研究Ⅱより,【生活空間を制限する要因】として「保育者の身体的・精神的負担」「児の障害特性」「物理的・環境的障壁」「社会的・制度的・情報的障壁」が,【生活空間を拡大する要因】として「外部からの支援・情報活用」「保育者の積極的な行動・工夫や意識の変化」が抽出された.
【考察】PSEは生活空間得点と直接関連しなかったが,生活空間に対する価値判断や外出・活動参加への意図形成に関与する可能性が示された.また,生活空間は児の障害特性や環境障壁により制限される一方,支援,情報,保育者の工夫や意識変化により拡大しうると考えられた.
【結論】重症心身障害児の生活空間は,児の身体機能のみならず,保育者の心理的特性や支援環境を含む多面的要因により規定される可能性がある.小児理学療法では,児への介入に加え,保育者支援や社会参加を支える環境調整が重要である.
【倫理的配慮、説明と同意】本研究は筆頭演者が所属する施設の倫理審査委員会および教育研究委員会の承認を得て実施した.対象者には研究内容を書面および口頭で説明し,自由意思による同意を得た.個人情報は匿名化して管理した.

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