講演情報

[O4-02]運動負荷量の調整に難渋した運動意欲の高い初回心不全患者に対する、在宅復帰に向けた運動指導の実践報告

*橋本 朋子1、加藤 了大1、足立 結衣1、中村 圭介1、谷口 良司1、松本 泰一1、佐藤 幸人1 (1. 尼崎総合医療センター)
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キーワード:

心不全、運動指導、認知症

【はじめに】心不全患者の再発予防には、病態に応じた運動を退院後も継続できるよう支援することが重要である。しかし、認知機能低下や自覚症状の乏しさを伴う場合、従来の運動指導では運動負荷量の理解および遵守が困難となることがある。今回、本人の習慣と以前から歩数・歩行時間を確認していたことを活用し、視覚的な資料と多職種連携を用いて在宅復帰を支援した症例を経験したため報告する。
【症例紹介】ペースメーカーが留置されている80歳代前半の男性。初回心不全により入院した。入院前ADLは自立し、1日約1時間半の散歩を日課としていた。妻・長男と一戸建てに居住していた。Mini-Mental State Examination 18/30点であった。入院時はClinical Frailty Scale(以下、CFS)3、握力(右/左)は23.6/24.1 kg、カナダ作業遂行測定(以下、COPM)の重要度-遂行度-満足度は5-5-5、SF-36は日常役割機能(身体)0/100点、全体的健康感40/100点、EQ-5D-5Lの「普段の活動」は5、EQ VASは50/100点であった。
【介入内容と結果】運動時のペースメーカーによる心拍応答が乏しい上、自覚症状も運動強度の指標としにくかった。また、認知機能低下のため、運動時間や強度を口頭で説明する従来の指導では、設定した運動負荷量の理解・遵守が困難であった。そこで、散歩が生きがいであり歩数や歩行時間は日常的に確認していたことを活用した。普段の散歩コースを聴取し、コースごとの歩数と所要時間を記載した自宅周辺のウォーキングマップ(以下、マップ)を理学療法士が自作した。さらに、心肺運動負荷試験の結果をもとに目標歩行速度を設定した。また、本人・家族・訪問看護師を交えて、多職種で退院前にカンファレンスを実施し、看護師へも同様の運動指導を実施し、退院後も支援できる環境を整えた。退院後は、当院の外来および訪問看護にて、活動量計を用いて生活全体での活動量を確認する体制とした。退院時はCFS 2、握力26.5/24.6 kg、Short Physical Performance Batteryは6/12点、6分間歩行距離は270 mであった。COPMは5-5-7、SF-36の日常役割機能(身体)は25/100点、全体的健康感は60/100点、EQ-5D-5Lの「普段の活動」は1、EQ VASは60/100点であった。
【考察】自身で歩数や歩行時間を確認していたことに着目し、自宅周辺のマップを自作した上で、家族および訪問看護師を含めて指導を実施した。抽象的な運動処方を本人になじみのある散歩コース、歩数、歩行時間に置き換えて視覚化したことで、認知機能低下があっても運動量を具体的に確認しやすくなったと考えた。また、身体機能およびQOLの向上の一助となった可能性も示唆された。加えて、家族および訪問看護師と同じ資料を共有したことは、退院後も一貫した支援を行うための環境整備に寄与した可能性があると考えた。
【倫理的配慮、説明と同意】ヘルシンキ宣言に基づき個人情報の保護に配慮し、対象者並びに家族へ説明の上、口頭にて同意を得た。

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