講演情報

[O3-03]要介護高齢者における上肢支持なし起立着座動作の可否と上肢支持あり起立着座動作パフォーマンスの関連

*橋立 博幸1、島田 裕之2、澤田 圭祐3 (1. 杏林大学、2. 国立長寿医療研究センター、3. おおくに訪問リハビリテーション)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

要介護高齢者、起立着座、上肢支持

【はじめに、目的】高齢者において手すりによる上肢支持を用いない起立着座動作 (STS) の遂行能力は移動や活動範囲の拡大に重要である。本研究は、上肢支持下でのSTSにおけるパフォーマンス特性と上肢支持なしでのSTS遂行可否との関連を検証し、上肢支持を用いないSTSの要件について検討することを目的とした。
【方法】対象は要介護認定を受け在宅サービスを利用する地域在住高齢者311人(平均年齢83歳)とした。上肢支持下にて一連の座位-立位-座位の動作を単回で実施 (STS-1)し、STS-1の所要時間、STS-1を3回実施した際の試行間変動(変動係数)、STS-1を遂行する自信および主観的運動強度(0-10点)を評価した。上肢支持なしでのSTS-1可否にて対象者を上肢支持なし可能群と不可群に分け、1-2回目のSTS-1の信頼性について級内相関係数(ICC)を算出しBland–Altman分析を実施した。また、各指標を群間比較し、支持なしでのSTS-1遂行可否に対する各指標の関連についてロジスティック回帰分析とROC分析にて検討した。
【結果】各条件のSTS-1のICC(3,1)は0.9以上を示し、Bland–Altman分析では両群ともに系統誤差を認めなかった。各群における最小可検変化量を算出した結果、可能群0.81s、不可群1.48sであった。可能群は不可群と比べて有意に、STS-1が短く、変動が小さく、自信が高く、主観的運動強度が低かった (p<0.001)。STS-1は算出した最小可検変化量を上回る差異を認めた。また、上肢支持なしでのSTS-1遂行可否に対して、上肢支持下でのSTS-1の所要時間、試行間変動、主観的運動強度が有意に関連し、上肢支持なしでのSTS可否を判別する上肢支持下でのSTS-1のカットオフ値は2.9s (感度0.664、特異度0.812、AUC=0.796)であった。
【考察】STS-1は再現性の高い指標であると考えられた。上肢支持なしでSTS-1遂行不可である高齢者は、上肢支持下でも動作が遅く、変動し、安楽性が乏しく、上肢支持にて動作遂行は可能であっても、上肢支持なしSTS遂行に求められる能力の低下を十分に補えていないと考えた。上肢支持下STS-1の速度は、上肢支持継続の必要性や上肢支持なし移行可能性に関連する指標になると推察された。
【結論】手すりを用いた上肢支持下でのSTSパフォーマンス特性は、上肢支持なしでのSTS-1遂行可否と密接に関連した。上肢支持下のSTS-1 2.9秒未満の目安は、起立着座に上肢支持を要する高齢者において上肢支持なしでの起立着座への移行可否を判断する際の参考となる可能性がある。
【倫理的配慮、説明と同意】
研究を実施するにあたり、対象者全員に本研究の趣旨と概要について説明し同意を得た。なお、本研究は筆頭演者が所属する施設の研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号:28-6)。

コメント

コメントの閲覧・投稿にはログインが必要です。ログイン