講演情報

[O12-02]介護予防センター職員が介護予防教室参加者に役割付与を行う際の実践的判断過程に関する質的分析

*松岡 寛樹1,4、福嶋 篤2,4、松田 涼3,4 (1. 札幌西円山病院 リハビリテーション部、2. 公益社団法人北海道理学療法士協会 事務局、3. 北海道科学大学 保健医療学部 理学療法学科、4. 一般社団法人 北海道リハビリテーション専門職協会)
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キーワード:

介護予防、社会参加、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ

【はじめに】札幌市が設置する介護予防センター(センター)では、地域の介護予防の一環として介護予防教室(教室)を定期開催している。教室では職員は一部の参加者(候補者)に運営補助の役割を担えるよう支援することが求められる。これにより、候補者が役割を通じて自信をつけ、将来的に住民主体の通いの場における支え手として活動することが期待される。しかし、職員がどのように候補者を選定し、役割付与を働きかけているのかという思考過程は現状では暗黙知である。これらを形式知化し共有することは、国が進める住民主体の通いの場施策における住民主体の介護予防活動の促進や社会参加拡大に寄与すると考えられる。本研究は、センター職員が候補者に役割付与を働きかける際の実践的判断過程を明らかにすることを目的とした。
【方法】札幌市内の3つのセンターに所属する職員を対象とし、3施設5名の協力を得た。「センター職員が候補者に役割付与を働きかける際の実践的判断過程」を分析的枠組みとして設定し、約60分の半構造化インタビューを行い逐語録を作成した。回答を修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)の手法を参考に質的分析した。選出理由に関連する概念を抽出しグループ化した。次に、概念をまとめるカテゴリを作成し、関係性を図式化した。
【結果】選定理由として5つのカテゴリが抽出された。センター職員が役割付与を働きかける際、まず「前提条件としての身体・認知的条件」や「背景としての地域活動経験」を確認し、次に「関係調整能力」や「参加に対する内的動機」を見極め、最終的に「役割の確認と自己の位置づけ」に至るという段階的な判断過程を経ていることが示された。
【考察】本結果の独自性は、暗黙知化されていた候補者の選定過程が可視化された点、および候補者の選定条件が直観的・並列的ではなく、段階的に評価される過程で構造化された点にある。特に、身体・認知的条件や活動経験といった客観的な側面から始まり、対人関係、動機といった内面的要素へと評価が進み、最終的に役割付与の意味づけに至るという思考過程が可視化された。また、役割による自己の位置づけは候補者の特性というよりも、職員側が期待する介入効果として位置づけられていた点も重要である。これらを踏まえると、現場では前提条件の他、内面的素養を日常参加しているときの言動や振る舞いから把握し、各候補者に適した役割付与を働きかけることが重要である。職員の判断過程が明らかとなったことで、これまで候補者とならなかった者の社会参加機会の促進の一助となり、介護予防活動の拡大が期待される。
【倫理的配慮、説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言および人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針に準拠して実施した。なお、北海道科学大学保健医療学部倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号:833)。

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