講演情報

[P1-01]住民主体の転倒予防活動が地域にもたらす効果と課題

*小松 悠人1,2、田中 誠也1、伊藤 英雄3、小杉 拓郎4、脇田 全人5、田中 巧3、榊原 和真6、鈴木 啓介1 (1. 国立長寿医療研究センター 先端医療開発推進センター、2. 愛知学院大学大学院 心身科学研究科、3. 笠寺学区民生委員児童委員協議会、4. 社会福祉法人名古屋市社会福祉協議会 社会福祉研修センター、5. 社会福祉法人名古屋市南区社会福祉協議会、6. 医療法人並木会 介護老人保健施設 メディコ阿久比 リハビリテーション科)
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キーワード:

転倒予防、多職種連携、地域包括ケア

【はじめに】
転倒は要介護につながる主要因であり、各地域で予防の取り組みが行われている。持続的な活動には地域住民主体の運営が不可欠である。また、住み慣れた地域で安心して暮らすためには、運動・認知機能の維持だけでなく、加齢による低下を前提とした医療・介護サービスへのアクセス支援や生活上の困りごとへの相談対応を含む包括的支援が必要である。そこで我々は、名古屋市南区笠寺学区民生委員を主体として、南区社会福祉協議会、地域包括支援センター、研究機関が協働し、「転ばないひとになるプロジェクト」として持続的かつ包括的な転倒予防プロジェクト(以下、本プロジェクト)を開始した。
【活動内容】
本プロジェクトでは、ウォーキングサロン(以下、サロン)とフレイル・運動・認知機能チェック(以下、機能チェック)を各月1回開催している。サロンでは研究者が歩行に関する講義を行い、その後、地域の寺や遺跡などを参加者にとって馴染みや所縁のある場所を目的地にウォーキングを実施する。半年に1回、サロン中に握力などの簡易的な運動機能評価を行い、詳細な評価を希望する参加者には別日に機能チェックを実施する。地域高齢者への案内は、主に民生委員が案内のチラシ等を用いて直接声掛けする形で行っている。また、活動中に生活に関する相談があった場合は地域包括支援センターにつなぐ体制を整えている。
【成果や課題】
民生委員が主体となって開催した本プロジェクトのキックオフイベントでは、地域住民102名が参加した。2026年1月から5月までのサロン参加者は23名(男性3名、女性20名)であり、全5回参加者は7名(30.4%)、4回以上の参加者は11名(47.8%)であった。サロンのウォーキングコースは参加者の歩行機能やその日の体調、天候に応じて、設定出来るように配慮する必要があった。年齢分布は60代3名、70代8名、80代7名(不明5名)であった。民生委員からは、参加しない住民に対しても本プロジェクトに関する声掛けが会話のきっかけになっているとの意見があがった。
【今後の展望】
本プロジェクトは開始間もなく参加者属性に偏りがあり、特に男性参加者の少なさが課題である。今後は参加しやすい環境づくりを進め、多様な住民が関われる体制を整える。また、活動が地域高齢者との会話の契機となっている点を踏まえ、本プロジェクトの効果についてはサロンや機能チェック自体の参加者数や機能チェックの結果だけで判断せず、地域高齢者の孤独感の軽減など、より広い視野で捉える必要性が示唆された。さらに地域包括支援センターとの連携を深め、生活課題への相談支援を含む包括的支援体制の構築を目指す。これらを通じて、持続可能な転倒予防活動として発展させていく。
【倫理的配慮、説明と同意】
本プロジェクトは地域住民主体の取り組みであり、参加者には事前に主旨を説明し、収集した情報を学会等で公表することについて同意を得ている。

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