講演情報

[O13-01]地域在住高齢者における低頻度・低負荷運動後のTUG改善には筋量より神経筋活動特性が関連する

*山﨑 貴博1、梅原 拓也1、田村 虎太郎2、宮丸 朋弥2、有藤 結太2、木藤 伸宏1 (1. 広島国際大学 総合リハビリテーション学部 リハビリテーション学科、2. 広島国際大学大学院 医療科学研究科 リハビリテーション学専攻)
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キーワード:

高齢者、Timed Up and Go test、神経筋活動特性

【目的】
 Timed Up and Go test(TUG)は高齢者の機能的移動能力および転倒リスクを反映する重要な指標である。低頻度・低負荷運動によるTUG改善に関連する要因は十分に解明されていない。本研究では、地域在住高齢者を対象に、TUG改善に関連する要因を骨格筋量、筋力および神経筋活動特性の観点から検討した。
【方法】
 対象は地域在住高齢者31名(77.8±5.8歳)とした。週1回90分、3か月間の多要素運動(バランス運動、体幹運動、低負荷レジスタンストレーニング)を実施した。レジスタンストレーニングでは速筋線維の動員を促すため、「可能な限り速く」動作するよう指示した。評価項目はTUG、骨格筋指数(SMI)、Phase Angle(PhA)、大腿直筋筋輝度(IMF)、膝伸展最大筋力(KES)、ならびに等尺性最大膝伸展筋力発揮時の外側広筋表面筋電図から算出した筋電図振幅(RMS)および筋電図周波数特性(HF ratio)とした。HF ratioは75–200 Hzの高周波成分が12.5–45 Hzの低周波成分と高周波成分の総和に占める割合として算出した。TUGが最小可検変化量(2.08秒)以上短縮した者を改善群、それ以外を非改善群と定義した。群×時間効果の検討には二要因混合計画分散分析を用いた。さらに、TUG改善との関連要因をFirthのロジスティック回帰分析により検討し、ROC解析によりΔHF ratioの識別能を評価した。
【結果】
 TUG改善群は12名、非改善群は19名であった。分散分析の結果、HF ratioに有意な群×時間交互作用を認めた(p=0.007, ηp²=0.225)。HF ratioの変化量は改善群で9.67±12.49ポイント、非改善群で−3.29±11.87ポイントであり、改善群で有意に高値を示した(p=0.007)。これに対し、SMI、PhA、IMF、KESおよびRMSには有意な群×時間交互作用を認めなかった。Firth回帰分析の結果、介入前TUG(OR=2.58, p=0.041)およびΔHF ratio(OR=7.51, p=0.025)がTUG改善と有意に関連した。一方、ΔSMI、ΔKES、ΔPhA、ΔIMFおよびΔRMSは有意な関連を示さなかった。ROC解析では、ΔHF ratioのAUCは0.759であった。
【考察】
 TUG改善には筋量や筋力の変化よりも、神経筋活動特性の変化が重要である可能性が示された。HF ratioの増加は神経筋制御機構の適応を反映している可能性があり、TUG改善に寄与したことが考えられる。本研究結果は、低頻度・低負荷運動によるTUG改善において、神経筋活動特性の変化が重要な役割を果たす可能性を示唆している。
【結論】
 地域在住高齢者における低頻度・低負荷運動後のTUG改善には、筋量や筋力よりも神経筋活動特性の変化が関連する可能性が示唆された。HF ratioはTUG改善を識別する指標となる可能性がある。
【倫理的配慮】
 本研究は筆頭演者が所属する大学の倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号:倫24-012)。対象者には研究の目的、方法、参加の自由意思および個人情報の保護について文書および口頭で説明し、全員から書面による同意を得た。

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